2013年09月24日 14:00 〜 15:00 10階ホール
根本匠 復興相

会見メモ

根本匠・復興相が会見し、①住宅再建の加速・産業の再生、②福島の地域状況に応じた復興・再生など政権交代後の復興加速化への主な取り組みについて説明した。

司会 日本記者クラブ企画委員 星浩(朝日新聞)


会見リポート

復興加速 問われる中身と質

若林 雅人 (河北新報東京支社編集部)

未曽有の津波被害と史上最悪レベルの原子力災害からの復興は、多くの課題が複雑に絡み合う。昨年暮れに復興の司令塔役に就いて以来、既存の法律と制度では対応しきれない問題、本人の言葉を借りれば「隘路の問題」を一つ一つ片付けてきた。口癖のように言う「復興加速の鍵は現場にある」を、会見でも強調した。


5年間で総額19兆円だった復興予算枠は25兆円に拡大。高台や内陸への集団移転の工程表を策定し、福島第一原発事故対応では省庁縦割りの弊害を排すため、福島復興再生総局を新設した。形は整ってきた。今後は遅れている災害公営住宅の整備をはじめ中身と質が問われる。


配布資料には「水産加工施設の業務再開74%」「鉱工業生産指数は約90」など回復ぶりを示す数字が並んだが、被災地の実感は異なる。雇用と求人のミスマッチが続き、とりわけ水産加工業は人手不足が深刻だ。原発事故の風評被害も根強い。指標や数字だけでは分からない復興の現実が、まさに「現場」にある。


大臣の地元の福島県は宮城、岩手両県に比べて復興の歩みが遅く、悩みは深いだろう。避難者の帰還支援、長期避難者の生活拠点づくりのための交付金を設けたが、肝心の原発は汚染水問題などトラブルが相次ぎ、収束に程遠い。


子ども・被災者支援法の基本方針策定では、支援対象地域の決め方や被災者の意見の吸い上げ方をめぐり、批判も浴びている。


人口減少や少子高齢化、産業空洞化など被災地が抱える問題は以前からあったが、震災で加速した。日本の多くの地域が将来直面する問題が前倒しで現れたともいえる。


解決に向けた被災地での試みは全国の先導モデルになる。「創造と可能性の地としての新しい東北づくりを目指す」という言葉を信じたい。


ゲスト / Guest

  • 根本匠 / Takumi Nemoto

    日本 / Japan

    復興相 / Minister for Reconstruction

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