2013年09月20日 14:00 〜 15:30 10階ホール
研究会「イラク戦争 10年後のイラク」アラー・アル=ハーシミー駐日イラク大使、坂本威午前JICAイラク事務所長

会見メモ

6月まで国際協力機構(JICA)のイラク事務所長を務めた坂本威午ならびに7月に信任状を提出したアル=ハーシミー駐日イラク大使が最近のイラク情勢、日本・イラク関係の現状などについて話した。坂本氏は同国におけるJICAの支援プロジェクト、大使は堅調な国内経済や5カ年投資計画(2013~2017)などに関して説明した。

司会 日本記者クラブ企画委員 脇祐三(日経新聞)

通訳 澄田美都子(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

イラクの地に希望の種をまく

高橋友佳理 (朝日新聞国際報道部)

ここ数カ月、イラクにおける「自爆攻撃で死傷者多数」という報道を何度となく目にしていた。イラクの現状に懸念と憂いを抱きながら参加した研究会だった。結果的に、いい意味で思考の転換ができ、感謝している。


JICAの坂本前イラク事務所長は、イラクがいかに「ポテンシャルを持った国か」を力説した。世界トップクラスの経済成長を誇り、輸入先は2004年からの7年間に中国が15倍、韓国が7倍に増加。一方で、かつて黄金時代を築いた日本はこのビジネスチャンスに「出遅れ、日本ブランドへの信頼と期待が薄れていく傾向にある」と言う。


坂本氏は、「JICAはイラクと共に伴走したい」と述べ、日本企業にとってリスクとなっているコンプライアンスや商慣行上の懸念を、JICAの支援で払拭すると明言した。これほどまで日本企業のイラク進出支援に力を入れているとは、驚いた。


6月に着任したアル=ハーシミー大使に、今年に入り悪化した治安状況について尋ねた。すると、国内の政治状況や隣国シリアの影響を挙げ、国内ではスンニ派とシーア派、クルド人のリーダーたちが「紳士協定」を結ぶなど対策に乗り出しているという。イラクが抱える諸問題は10年前に始まったのではなく、フセイン政権時代からの「負の遺産」なのだ、とも述べた。


大使はスピーチを「まかぬ種は生えぬ」という日本語で締めくくった。若者にチャンスを与えるには、生活環境の改善や雇用創出が欠かせない。イラク戦争で米国の開戦を支持した国として、日本にはイラクの将来を希望の持てるものにする責任があるのだと、強く感じた。


ゲスト / Guest

  • アラー・アル=ハーシミー駐日イラク大使、坂本威午前JICAイラク事務所長 / H.E. Mr. Alaa Al-Hashimy, Ambassador of Iraq to Japan Takuma Sakamoto, the former representative, Iraq office, JICA

研究テーマ:「イラク戦争 10年後のイラク」

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