2013年09月09日 10:00 〜 11:00 10階ホール
ジョイス NZ経済開発相 記者会見

会見メモ

ニュージーランドのスチーブン・ジョイス経済開発相が会見し、経済成長のための6つの重点項目について説明した。その中で、成長にダイナミズムをもたらすイノベーション特に重要であり、今後GDPの1%を投入していくと語った。TPPについては、年内にまとめることが、直近だけでなく長期的にも大きな経済効果をもたらすことになる、と。

司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)

通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

異色経歴持つ大臣 ラグビーW杯にもアドバイス?

杉田 弘毅 (企画委員 共同通信編集委員室長)

ニュージーランドは英語学習を中心に毎年1万人の日本人留学生を受け入れている。日本人の海外留学生は米国などでは減少傾向にあるが、ニュージーランドは安定している。人口が440万人の国だから、その割合はかなり高い。「日本とは深い人的交流がある。両国関係はすごい潜在性を持つ」と力を込めた。


興味深い経歴だ。大学で動物学を学んだ後、21歳の時にラジオ局を故郷で立ち上げた。その後17年間にわたりラジオビジネスを展開、音楽局を含めて22の局、20支社を持つ大企業に育て上げた。「いまは政治家だが、メディア側の弱点も身をもって知っているよ」と、会見前の控室での懇談で笑った。


政治に関わったのは保守・中道の与党国民党がじり貧傾向にあった2002年。コンサルタントとして同党の選挙対策の見直しを頼まれ、党の改革につなげた。そのまま真っすぐ政界入りかと思ったら、広く南太平洋を市場とする観光業に転じた。この辺が起業家精神旺盛なニュージーランド人らしい。08年の総選挙で当選し、その年に入閣した。


会見はエキサイティングな経歴、人をリラックスさせる柔らかい風貌のわりには、そつない応答が目立った。南太平洋にポツンと浮かぶ国だけに、「良くも悪くも孤立している」。アジア太平洋の多くの国が、程度の差こそあれ意識する中国脅威論にはくみしなかった。中国とは自由貿易協定(FTA)も締結済みだ。


ラグビー強豪のニュージーランドからみて、19年ワールドカップ(W杯)をホストする日本の実力をどうみるかという質問への答えは面白かった。ニュージーランドの監督をアドバイザーにしてはどうか、オーストラリアの監督が解雇されたので日本が雇ってはどうかなど、成功したコンサルタントらしい具体的なアドバイスをしてくれた。


ゲスト / Guest

  • スティーブン・ジョイス / Steven Joyce

    ニュージーランド / New Zealand

    経済開発相 / Minister for Economic Development

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