2013年08月19日 16:15 〜 17:00 10階ホール
フロマン 米通商代表部代表 記者会見

会見メモ

米通商代表部(USTR)のフロマン代表が会見し、「21世紀の日本、米国、アジア・太平洋地域」と題し、話した。TPP(環太平洋経済連携協定)は21世紀の貿易問題を取り扱う、高基準で包括的、雇用支援の協定であり、グローバルな貿易体制に新規律をもたらすものになるとした。

司会 日本記者クラブ企画委員 実哲也(日本経済新聞)

通訳 長井鞠子(サイマル・インターナショナル)、ユミコ・ミヤザキ(米大使館)


会見リポート

タフネゴシエーター 作戦図の一端示す?

軽部 謙介 (時事通信解説委員長)

米通商代表部は不思議な組織だ。職員数は200人前後。ホワイトハウス横のこぢんまりとしたL字型のビルに居を構えている。


しかし、小ぶりな外見とは不釣り合いなほどその力は強い。米国の通商交渉を一手に引き受け、市場開放を迫るUSTRの存在は相手国にとって常に脅威だし、代表の発言は世界の注目を浴びてきた。オバマ大統領側近としてその能力を高く評価されたフロマン代表が、経済面で「米国の顔」になるのも間違いない。


この日の会見で質問が集中したのは環太平洋経済連携協定(TPP)交渉。代表は「年内妥結」を強調する一方、関税撤廃で日本が要望するコメなど5品目の例外扱いについて「交渉を通じて解決される」とリップサービスも怠らなかった。ただ日本の自動車市場の閉鎖性を主張する論理展開は20年前と変わっておらず、この問題で日本側と激しくやりあったカンター代表(当時)の顔が浮かんだ。


印象的だったのは、会場からの質問に対する答えが極めて簡潔だったこと。今年6月に就任したばかりなのに、早くも「余計な言質は与えない」というタフネゴシエーターの面目躍如だ。


米国の通商戦略は単純ではない。安全保障分野も含んだ対アジア政策の中で、TPPは「パズルのピース」なのだろう。フロマン代表は、会見のオープニング・リマークスで中国について全く言及しなかった。しかし、その不自然さは逆に米国がこの東アジアの大国を強く意識しながらゲームを進めていると確信させた。


USTRの入居するビルは、南北戦争のころ北軍の司令部が置かれ、リンカーン大統領もよく出入りしていたのだという。21世紀の現在、代表室に陣取るこの人は、どんな作戦図を描いているのか。この日の会見で、その一端がちらりと見えた気がした。


ゲスト / Guest

  • マイケル・フロマン / Michael Froman

    アメリカ / USA

    米通商代表部(USTR)代表 / U.S. Trade Representative

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