2013年08月23日 13:00 〜 14:30 10階ホール
研究会「参院選後の日本」 ⑤ 武藤敏郎 大和総研理事長

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 村田泰夫(朝日新聞出身)


会見リポート

アベノミクス 消費増税 見通しは?

安部 順一 (読売新聞編集委員)

財務次官、日本銀行副総裁を歴任し、日銀総裁昇格の人事案も国会提示された財政金融のエキスパート。「もし、武藤日銀総裁だったら」との質問には答えなかったが、アベノミクスについては「滑り出しは極めて好調」と評価してみせた。


今後は、賃金の上昇と設備投資の増加が課題としながらも、6月の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)が前年同月比0・4%上昇し、1年2カ月ぶりにプラスになったことを「デフレ脱却の第一歩」と位置付けた。「2015年春に(物価目標)2%の達成はハードルが高そうだが、15年度中なら1・数%までいく可能性がある」と予測する。


焦点の消費税を予定通り上げるかどうかについては「増税がデフレ脱却の足を引っ張るかどうかは、慎重と楽観の見方があるが、考えなければならないのは、引き上げなかったら何が起こるか」と指摘した。


市場は14年4月からの3%引き上げを織り込み済みで、10年のトロント・G20サミットでは、先進国が財政赤字を13年までに半減することで合意したが、日本だけが15年までに半減と例外扱いされている。メルケル独首相の「財政再建なきアベノミクスにはリスクがある」との発言を紹介する形で、予定通り上げられずに「(半減)できないとなると、厳しい批判にさらされる。国債格付けの引き下げも不可避で、これがトリガーになって長期金利上昇も考えられなくもない」と懸念を示した。


もっとも、政治との調整を長年やってきた人らしく、「(増税の是非を聞く有識者会合で)賛成多数だから予定通りするとはならないと、現役時代の経験から思う。どうするかは別問題だ」とも話し、先送りなどの可能性も否定しなかった。さて、安倍首相の判断はいかに。


ゲスト / Guest

  • 武藤敏郎

    大和総研理事長

研究テーマ:参院選後の日本

研究会回数:5

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