会見リポート
2013年08月06日
13:30 〜 14:30
10階ホール
研究会「成長戦略には何が必要か 現場からの視点」 池辺裕昭エネット社長
会見メモ
特定規模電気事業者(新電力)・エネットの池辺裕昭社長が会見し、①自社の紹介、②ITを活用したスマートサービスへの取り組み、③廃案になった電気事業法改正案の早期成立など電気事業制度への提言などについて語った。
司会 日本記者クラブ企画委員 脇祐三(日経新聞)
会見リポート
電力の取引推進を 挑戦者からの提言
今井 伸 (毎日新聞出身)
最近「新電力」と呼ばれるようになった特定規模電気事業者の最大手がエネット。岩盤のような9電力体制(沖縄電力を含めると10電力)に立ち向かう挑戦者である。
池辺さんは、旧電電公社の技術者として通信自由化を経験した。「なんでこんな目に遭うのかと思った。でも、営業で取ったり取られたりするうちに面白くなった」「民営化を経て、NTTは人員を半減したうえで売り上げを2倍に増やした。料金は低下し、日本のブロードバンド環境は世界トップレベルになり、お客さまに喜ばれた」と体験談。
現在の携帯電話・PHSのシェアはNTTが40%強、auやソフトバンクなど通信自由化が実施された1985年以降に新規参入した企業(当時「新電電」と呼ばれた)の合計が60%弱である。
ところが、電力の世界は様相が異なる。
「自由化から10年以上たったが、当社のシェアは1%。新電力全社合わせても2%にとどまっている」「現行の電気事業制度は、事業者の競争によってサービスを向上させ、ユーザーの選択肢を増やすという点で不十分」と池辺さん。
エネットは、自前の発電所、東京ガス・大阪ガスの発電所、自家発電の余剰電力、卸電力取引所からの調達によって得た電力を販売している。低価格と省エネ・節電や再生可能エネルギー普及につながるビジネスモデルが〝売り〟だ。最大の課題は販売する電力を十分に調達できないこと。「顧客を奪われることを懸念し、電力会社は取引所にほとんど電力を売りに出さない。欧米の例を参考にして、30%くらいは取引所に出すことを義務化することも必要ではないか」と語った。
さて、日本経済活性化、成長戦略への提言。キーワードは「エネルギーとIT(情報通信技術)の結合」だとした。業界・技術・人材が垣根を越えて交流することで新しいサービス、新しい産業を興すことができるとした。
ゲスト / Guest
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池辺裕昭 / Ikebe Hiroaki
日本 / Japan
エネット社長 / President and CEO, ENNET Corporation
研究テーマ:成長戦略には何が必要か 現場からの視点
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