2013年08月06日 15:15 〜 16:15 10階ホール
横内正明 山梨県知事 記者会見

会見メモ

富士山の世界文化遺産登録をうけて、横内正明山梨県知事が会見した。弾丸登山の規制など富士山の保全と安全対策を進めながら、質の高い国際観光保養地づくりを目指すと話した。

司会 日本記者クラブ企画委員 島田敏男(NHK)


会見リポート

富士山特需 ブームだけで終わらせない

保田井 建 (日本経済新聞生活情報部)

富士山の世界文化遺産登録を受け、今夏は霊峰への登山がブームだ。横内知事は、「失敗が許されない。(駄目だったら)静岡県知事と共に頭を丸めなくてはならない」と登録までの心境を明らかにし、ほっとした表情を見せた。


ユネスコ(国連教育科学文化機関)から世界遺産としての価値を維持するため、来訪者の管理や山麓の開発を抑制するといった保全管理が求められている。知事は、「来年から本格的な入山規制を検討する」と述べ、具体的には山梨側の五合目まで通じる有料道路を一定時間閉鎖したり、入山料を強制か任意かいずれかの方法で徴収したりするといった案を示した。


ユネスコからの宿題をこなした上で、「富士山麓を質の高い環境保養地へ」と言及した点が、会見に臨んだ狙いだったのではないだろうか。要は「観光都市・山梨」を東京のメディアにアピールし、さらなる集客につなげようというものだ。


3月まで甲府支局長を3年間務めていたので、現在も山梨県幹部と連絡を取り合う。ある観光担当者は世界遺産登録以降、「旅行会社からの問い合わせで土日も仕事。特需です」とうれしい悲鳴を上げる。担当者はこう付け加える。「ブームはいつか終わる。だから今、必死に働いて山梨への固定ファンを増やす」


ヒト、モノ、カネが東京に集中する中、山梨も活力の低下が著しい。人口は減り85万人弱と、東京都世田谷区の人口に及ばない。製造業も工場の海外移転で空洞化が目立つ。活性化の切り札は、富士山を筆頭とする観光資源くらいといってもいい。


知事は観光振興へ「おもてなしの質を磨く」と強調する。後は民間の創意工夫。山に囲まれて、内向きの感もある甲州人気質から脱却し、大都市に営業攻勢をかける積極性が問われているのかもしれない。


ゲスト / Guest

  • 横内正明 / Shoumei Yokouchi

    日本 / Japan

    山梨県知事 / Governor of Yamanashi Prefecture

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