2013年07月26日 13:00 〜 14:30 10階ホール
研究会「参院選後の日本 民意をどう読むか」「外交政策」田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長

会見メモ

田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長が、研究会「参院選後の日本」で、米国、韓国、北朝鮮、中国の現状を分析したうえで、日本が現実的で能動的な外交をどのように進めていくべきかについて語った。

司会 日本記者クラブ企画委員 山岡邦彦(読売新聞)

日本総研ホームページ(田中均氏のページ)

http://www.jri.co.jp/page.jsp?id=19304


会見リポート

中国を変える戦略的外交を

山岡 邦彦 (企画委員 読売新聞論説委員)

外務省きっての論客といわれた頃からのクラブゲストの常連だ。7度目の今回は、民間人の立場で、参院選後の日本に求められる外交戦略を大いに語ってもらった。


自民党の圧勝によって、この先、最大3年間は国政選挙がないと見込まれている。1年ごとの首相交代で「回転ドア」と揶揄されてきた日本の内閣も、ようやく落ち着きそうだ。アベノミクス経済の評価もおおむね高い。この「大きなチャンス」を安倍政権はどう生かすのか。


田中氏によれば、日本外交の最重要課題とは、「中国を脅威でないようにすること」に尽きる。


沖縄県・尖閣諸島周辺では日中の緊張が高まり、日本は静かな実効支配ができなくなった。中国の軍事的膨張の趨勢を見れば、5~10年後に圧倒的な軍事力を持つ大国が日本のすぐ横に存在するようになる。


急速に大国化する中国には、さまざまな懸念がある。


中国を「建設的な国」に変えていくために、「今から戦略を立てていかなければいけない」と、田中氏は熱を込めて語った。


「外交とは、目的達成という結果を作り出すこと」というのが持論だ。


東アジア情勢の変化を分析し、中国が抱える5つのリスクを列挙して、日本がとるべき戦略と目指すべき現実的な外交の形を描き出した。興味尽きない90分であった。


質疑応答では、安倍首相がフェイスブックで田中氏を「外交を語る資格はない」と批判したことに関連して、「何か影響はあったのか」との質問も出た。


「コメントしない」の一言に続けて、「自由闊達な議論をしたいという気持ちが損なわれているわけではない」と、今後も論じ続ける意志を隠そうとしなかった。


外交戦略家としての矜持だろう。


揮ごうの「正念場」も含蓄に富む。


ゲスト / Guest

  • 田中均 / Hitoshi Tanaka

    日本 / Japan

    日本総合研究所国際戦略研究所理事長 / Chairman, Institute for International Strategy, The Japan Research Institute, Limited

研究テーマ:研究会「参院選後の日本 民意をどう読むか」

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