2013年07月23日 14:00 〜 15:30 10階ホール
研究会「参院選後の日本 民意をどう読むか」① 松本正生埼玉大学教授

会見メモ

世論調査の研究で知られる松本正生・埼玉大学教授が、7月21日に投開票が行われた参議院選挙の結果について考える研究会「参議院選挙後の日本―民意をどう読むか」で話した。

司会 日本記者クラブ企画委員 川戸恵子(TBSテレビ)


会見リポート

世論調査 高齢者に増える“その都度支持層”

原田 哲哉 (読売新聞東京本社世論調査部長)

「アベノミクスには不安もあるものの、それも含めて安倍さんに託すしかない。参院選で示された民意はそんな感じだったと思います」


「選挙のたびに投票先を変える『その都度支持層』は中高年齢者が多くなっている。その背景には、社会の無縁化がある」


的確な指摘だった。


実際、当社の出口調査では、民主党、日本維新の会、みんなの党の支持層も、1~2割が選挙区で自民党候補に投票していたし、無党派層の年齢構成は20~30歳代が特に多いというわけではなかった。


地域コミュニティーの弱体化で、かつてはリタイアした後、特定の支持層に組み込まれていた高齢者も、今では選挙のたびに支持を変えているという分析に共感する。


そんな読みにくくなった民意を測る上で、興味深いのが「ビッグデータ」だ。今回の参院選から解禁されたネット選挙。政党、候補者、有権者ともに戸惑いながらツイッターなどを利用したのが実情だったようだが、政党向けに「好まれる(嫌われる)キーワード」を提示するサービスも始まっているという。


しかし、教授は「政治が企業と同じようなリスク管理をやってどうするのか」と疑問を呈す。「炎上」するリスクを避け、気に入られる言葉ばかり口にする選挙に意味があるのか。私もネット選挙を見ていて、街頭演説の日程や他愛もない感想が目立つ状況に違和感を覚えた。


最近、世論調査などは「スモールデータ」と呼ばれているという。


「報道機関が責任を持って品質管理している世論調査は社会的財産。いろいろな批判はあるが、きちんとしたデータがあるのは大事なこと。今後2~3年国政選挙がないとすれば、世論調査は一層重要になってくる」


教授の言葉に、あらためて身が引き締まる思いだ。


ゲスト / Guest

  • 松本正生 / Masao Matsumoto

    日本 / Japan

    埼玉大学教授 / Professor of Saitama University

研究テーマ:参院選後の日本 民意をどう読むか

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