2013年06月21日 12:00 〜 14:00 10階ホール
マッケンジー・クラグストン 駐日カナダ大使

会見メモ

日本での勤務経験が15年にもおよぶカナダのクラグストン大使が会見し、二国間関係の現状について、包括的に話した。両国には、より緊密な経済・政治関係を築いていこうとの政治的意志がある。日本はアジアでもっとも頼りになるパートナーであるとして、アジアとの関係を重視するカナダにとって特別の存在だ、とした。

中国のTPP交渉参加問題の質問には以下のように答えた。「日本は農業、医療などへの影響について長時間の議論をして、高レベルで、野心的な交渉への参加を決めた。カナダも同様な手続き経て、参加した。中国はそこまでの議論をまだ行っていないのではないか」

司会 日本記者クラブ委員 杉田弘毅(共同通信)

通訳 澄田 美都子(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

5度目の日本勤務に熱い思い

明石 和康 (時事通信解説委員)

この人には「お帰りなさい」という言葉がふさわしい。神戸に生まれ、テレビで「月光仮面」を見て育ったというから、心は日本人だ。2度の駐日カナダ大使館勤務、大阪総領事、駐日大使館公使を経て、昨年12月に念願の大使として5度目の日本勤務を開始した。

着任後初となる日本記者クラブでの昼食会では「第二の故郷に戻れてうれしい」と日本語であいさつ。テーブルにはカナダ産のメープルクッキーが並び、引き続き行われた名刺交換会では米国でも売れているビールが提供された。

カナダも加わる環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に日本が参加するなど、両国の協力が一層求められるタイミングでの着任は、日加双方にとって幸運と言うべきだろう。

「ダイナミックなアジア・太平洋地域にカナダが関与していく上で、日本との関係は要石となる」と強い意欲を表明した。東日本大震災で多大な被害を受けた東北にはいち早く足を運び、カナダが協力する復興行事に参加している。

TPPについては、日本にエールを送る。カナダが米国との北米自由貿易協定(NAFTA)に踏み切る前、水資源のコントロールを失い、文化面でも米国にのみ込まれるのではないかとの懸念が確かにあったと言う。しかし、こうした見方は「完全に誤っていた」と大使は語る。

「カナダのワインはまずく、カリフォルニア産ワインに駆逐されるとみられていたが、高品質のおいしいワインに生まれ変わった。国内総生産(GDP)は伸び、カナダはより豊かで競争力を持つ国に変わった」と、自由貿易の効用を説いた。

「多文化主義」を国是とするカナダは、グローバル人材の育成を急ぐ日本にとって学ぶべき国の一つだろう。「向こう数年、日加関係ははるかに活発になる」と語る大使の手腕に大いに期待したい。

ゲスト / Guest

  • マッケンジー・クラグストン / Mackenzie Clugston

    カナダ / Canada

    大使 / Ambassador of Japan

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