2013年06月04日 11:00 〜 11:45 宴会場(9階)
ズマ 南アフリカ大統領 記者会見

会見メモ

第5回アフリカ開発会議(TICAD V)に出席のため来日した、南アフリカのズマ大統領が会見し、高成長が続くアフリカは歴史上初めて世界の市場に直結するようになったとして、一層の投資をよびかけた。インフラをはじめ、製造業、鉱物資源、環境、教育にいたるまで、投資対象は膨大にある、と。日本との二国間経済・貿易関係については、補完しあう体制にあり、アフリカへのゲートウェイとしての機能を果たせる、とも。

司会 日本記者クラブ企画委員長 会田弘継(共同通信社)
同時通訳 池田薫、宇尾真理子(サイマル・インターナショナル)

会見リポート

南ア経済 潜在力強調も不安拭えず

中澤 穣 (東京新聞外報部)

配られた資料によると、アフリカ大陸の電力の3分の2は南アで発電され、アフリカ大陸の鉄道の8割は南ア国内を走るという。アフリカ民族会議(ANC)のたたき上げの闘士であるズマ大統領(71)はかんで含めるように原稿を読み上げ、「南アを玄関口にアフリカ大陸に投資を」と説いた。

大統領は、横浜市で6月1~3日に開かれた第5回アフリカ開発会議(TICAD5)に合わせて来日。会議期間中はこれまでになくアフリカの経済面が注目を集め、「中国に遅れるな」とせき立てるようにアフリカ経済に関する報道があふれた。

大統領の会見も経済一色。アフリカの経済的な潜在力を強調し、インフラ整備や教育制度の充実が「植民地支配の歴史から大陸全体での課題だ」と訴えた。日本に何を期待するのかを問われると、農業や製造業、情報通信などの分野を挙げ、「投資機会は膨大にある」と語った。

だが、南ア経済の足元を見ると不安も見えてくる。南アの通貨ランドは下落し、失業率は高止まり。今年の経済成長率は2%台後半という当初の予測に届かないとみられ、おおむね5%成長を続ける他のアフリカ諸国とは雰囲気がだいぶ違う。

さらに労働紛争がカントリーリスクとなっている。昨年8月にストライキ中の鉱山労働者に対して警官隊が発砲し、34人が死亡した。労働紛争は今年も続いている。外国メディアから対応を問われると、大統領は「話し合いしか解決方法はない」といら立たしげに答えた。その口調には手詰まり感が垣間見えた。

昨年12月には与党のANC議長に再選され、大統領職を次の任期も続投する可能性もある。昨年4月に6度目の結婚をして現在の夫人は4人。うらやんでいいのかわからないが、会見では結婚生活への質問はなかった。

ゲスト / Guest

  • ジェイコブ・ズマ / Jacob Zuma

    南アフリカ / South Africa

    大統領 / President

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