会見記録/昼食会/研究会

2013年6月10日    14:00〜 15:00
旭酒造社長 桜井博志    10階ホール

氏名 桜井博志 Name Hiroshi Sakurai
日本 Nation Japan
肩書 旭酒造社長 Title President and Representive Director, Asahi Shuzo Co. LTD.

会見メモ

純米大吟醸「獺祭(だっさい)」で知られる、旭酒造の桜井博志社長が会見した。

日本酒業界が衰退する中、山口県岩国市の山間部にある40人規模の酒造メーカーが、純米大吟醸の出荷量を日本一にした秘訣を披露した。

山田錦米だけを使い、おいしさで感動できる酒造りを目指してきた。杜氏制度を廃止し、平均年齢31歳の若い社員により、改革が可能な社内体制を築いたことが大きかった、と。

司会 泉宏 日本記者クラブ企画委員

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旭酒造社長 桜井博志 写真 1 旭酒造社長 桜井博志 写真 2      

記者による会見リポート

海外に打って出て地方企業を再生

高度成長時代まで「全国3000軒」といわれるほど造り酒屋があった。いま残ったのは1500強。業界の売上高は40年前の3分の1で、経営環境は厳しい。ビジネスモデルを転換して純米大吟醸酒の出荷量で日本一になり、海外市場も開拓して、売上高を30倍に増やした旭酒造は驚くべき存在だ。

過疎化が進む山口県の山間の蔵元は、縮小する地元市場でシェアを確保する道を避けた。新ブランド「獺祭」を立ち上げ、東京で各国大使館や高級料亭に食い込み、フランスや米国から研修生を受け入れ、パリやニューヨークの有名ホテル・レストランをはじめ17の国・地域に販路を広げた。

桜井社長は「世界の中で日本の文化的ポジションをつくることが重要」「高所得層をターゲットにし、ボリュームゾーン(中間層)市場での量的拡大は追求しない」と言う。

酒造りは匠の技の世界と思いがちだが、獺祭は高齢化する杜氏に頼らず、製造工程をマニュアル化し、経営者と若い社員が知識と意識を共有することを是とした。生産者側の思い込みや卸問屋の都合ではなく、最終消費者のニーズに応える体制にしたことが成長につながった。

もちろん課題も残る。さらに生産を増やそうとしても、原料の高品質酒米「山田錦」の調達に制約がある。コメの減反に伴う問題だ。

安倍政権は日本文化の世界への発信に力を入れるが、補助金でクールジャパンが世界に広がるわけでもない。「不自由な規制をできるだけなくし、企業がリスクを取りやすくなる環境を望む」と桜井社長は言う。

地方自治体は長年、大企業の工場誘致に頼った。いま地方は工場の海外移転で青息吐息。「だからこそ地方企業がグローバル市場で伸びていく必要がある」。地方経済活性化のヒントも得られる会見だった。


企画委員 日本経済新聞コラムニスト 脇 祐三
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