2013年05月08日 18:00 〜 18:45 10階ホール
アリアナ・ハフィントン ザ・ハフィントン・ポスト創設者、プレジデント兼編集長  記者会見

会見メモ

朝日新聞との日本版開設のために来日した、ザ・ハフィントン・ポスト創設者で編集長のアリアナ・ハフィントン氏が会見した。提携に踏み切った最大の理由は、ニュースとブログやソーシャルメディアを融合させた独自モデルを使い、読者が意見を述べ、議論に参加するフォーラムを築くことにある、と述べた。

司会 瀬川至朗 日本記者クラブ企画委員

ハフィントンポスト日本版のウェブサイト

http://www.huffingtonpost.jp/


会見リポート

新旧メディアのハイブリッド化で「黄金時代」を

村山 恵一 (日本経済新聞編集委員)

世界で24億人が利用するインターネットは、社会や経済の隅々にまで入り込み「破壊と創造」を続けている。メディア分野も例外ではない。

4月にサービス開始10周年となったアップルの音楽配信「アイチューンズ・ストア」は典型例だ。CD収録曲のばら売りが一般化し、音楽の新しい聴き方が広がった半面、CDは売れなくなりレコード会社の収益力は低下した。店じまいする販売会社もあった。ネット化の波をかぶった産業に生じる構造変化を物語る。

アイチューンズ誕生から2年後、2005年に米国で始まったニュース・ブログサイト「ザ・ハフィントン・ポスト(ハフポスト)」が朝日新聞社と組み日本に進出した。創設者のアリアナ・ハフィントン・プレジデント兼編集長は「伝統的なメディアと新しいメディアによるハイブリッド型で、ジャーナリズムは黄金時代を迎えるのではないか」と語ったが、警告も忘れなかった。「デジタル版に適応しないと生き残れない」

ここで「デジタル版」が、単に紙媒体のニュースを電子媒体に載せ替えるといった無邪気な策を意味しないのは言うまでもない。ネットの普及で人びとのメディア消費のありようは一変した。例えば記者がネタを集めて発信したニュースは読者の手によってソーシャルメディア上の「ネタ」となり、ときに容赦ない評価とともに瞬く間にデジタル回覧される。

ハフポストの特徴をハフィントン氏は「読者中心モデル」と語り、一方的なニュース供給ではなく、読者も参加する基盤とした。「プレゼンテーション型からパーティシペーション型への移行」が起きているという。

コンテンツ自体のクオリティーが高いことはもちろん、テクノロジーを駆使して便利さや楽しさまで備えた「しくみ」を編み出さなければ、知的な刺激の伴うメディア体験を求める読者の心に響かない。「黄金時代」を引き寄せるには相当の発想の転換がいるだろう。

ゲスト / Guest

  • アリアナ・ハフィントン / Arianna Huffington

    ザ・ハフィントン・ポスト創設者、プレジデント兼編集長 / The chair, president, and editor-in-chief of the Huffington Post Media Group

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