2013年05月08日 16:00 〜 17:00 宴会場(9階)
チョケワンカ ボリビア外相 記者会見

会見メモ

ボリビアのチョケワンカ外相が、対米関係や国内の先住民族の権利などについて話し、記者の質問に答えた。

司会 中井良則 日本記者クラブ専務理事・事務局長

通訳 丸山啓子(オルビス・インターナショナル)


会見リポート

我々の生き方は「VIVIR BIEN」

伊藤 千尋 (朝日新聞元中南米特派員)

南米の反米勢力の中でボリビアのモラレス政権はユニークだ。欧米の世界観に抗し、先住民の権利や環境の大切さを唱える。2009年に国名をボリビア多民族国と改名した。同年、国連に提案し、ボリビアで地球を「母なる大地」と呼ぶのにちなんで、4月22日のアースデーを「国際母なる地球の日」に変えさせた。

政権が発足した2006年からモラレス大統領の右腕として活躍するのがこの人だ。先住民アイマラ民族の出身で、記者会見には普段着のカーディガン姿で登場した。

「ボリビアは歴史的な変革の途上にあり、資本主義や社会主義を乗り越えるモデルを構築しようとしている。西欧の開発モデルは不平等と危機を生んだ。我々自身の宇宙観を取り戻し、人間は大いなる自然の一つだと自覚すべきだ。我々は人間の生活を重視し『VIVIR BIEN(良く生きる)』を掲げる」

表情を変えないまま、先住民の用語を交えつつ、学者のように語る。

「母なる大地がもたらすミルクが水だ。母なる大地の上で、我々はみな兄弟だ。対話によって知り合い、学び、尊重し合わなくてはならない。日本は技術を持ち、我が国は天然の資源がある。補完的な関係を築こう」

対米関係について質問すると、「互いに尊重し、互いの相違を認めよう。(米国は)それぞれの国の法律を尊重すべきだ」と述べ、「米国と補完と均衡の関係を保ちたいが、介入があれば排除する」と断言した。5月初め、内政をかく乱したとして米援助機関を国外追放したばかりだ。

大学の卒論テーマは先住民の権利だ。1970年代の軍事独裁時代は民主化運動、さらに農民運動、先住民組織の活動家だった。議員経験もないまま、いきなり同国初の先住民出身の外相に就任した。その印象は政治家というより哲学者に近い。

ゲスト / Guest

  • ダビッド・チョケワンカ・セスペデス / David Choquehuanca Céspedes

    ボリビア / Bolivia

    外相 / Foreign Minister

ページのTOPへ