2013年05月10日 12:00 〜 13:30 10階ホール
萬歳章 JA全中会長 昼食会

会見メモ

JA全中の萬歳章会長が、日本のTPP参加問題の基本的な考え方を述べた後、平成26年度以降の活力ある農業・地位づくりに向けた提言案を発表した。TPP交渉については、多様な農業を可能にする貿易ルール確立のために、センシビリティ品目については、適切な関税レベルを残すよう主張を続けていくとした。TPPの本質が変わらないのであれば、断固反対する立場は変わらない、と。

司会 村田泰夫 日本記者クラブ企画委員

JA全中のホームページ

http://www.zenchu-ja.or.jp/


会見リポート

「農は国の基」とTPP反対貫く

大塚清一郎 (新潟日報東京支社報道部長)

「農は国の基」。信念だというこの言葉を何度も口にした。人の命の源を作る農業者は、国民に安全、安心な農産物を安定的に提供する役目がある。食は地域や文化をも支える。その強い自負が、約900万の組合員のトップとして組織を引っ張る原動力になっている。

しかし、いま、農業・農家は強い逆風の中にある。日本の農業は高い関税や補助金などで守られてきた。関税ゼロを基本線とする環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に、政府がかじを切ったからだ。

政府の試算によれば、関税撤廃になれば農林水産物の生産高は3兆円減少する。コメの32%、サトウキビなどは実に100%が輸入品に取って代わる。「農業者の職業が失われてしまう。(政府に)交渉力があると言われても、まったく実感できないのが正直な気持ち」と吐露した。

とはいえ、昨年暮れの衆院選で支持した自民党が政権を取ったあげくの交渉参加だ。「今でもTPP反対は変わらない。参院選でも反対の候補者を推薦する」と言い、同党や衆参両院の委員会がコメなど重要農産5品目の関税除外を求める決議をしたのを指摘。「決議に即した判断をお願いする。政治は信頼。最後には国会の批准もある」と強調した。

また、今後の農政について、農業者の所得増大、食料自給率の向上との二大目標を説明した。日本型直接支払制度の確立を求めた。

質疑では、かみ合わない答弁もあった。新潟県のコメ農家の出身。自然を相手につらい作業をこなす農家には口下手な人が多い。何で分かってくれないのか、硬い表情にそんないら立ちもあるのだろうかと感じた。

恒例の揮ごうは、冒頭の言葉の脇に「前進」と添えた。意味を問われ「まさにTPP反対の前進であります」。このときは〝貴重な〟満面の笑みを見せた。

ゲスト / Guest

  • 萬歳章 / Akira Banzai

    日本 / Japan

    JA全中会長 / President, JA-ZENCHU (Central Union of Agricultural Co-operatives)

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