2013年05月08日 14:00 〜 15:30 10階ホール
著者と語る『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』 佐々涼子 フリーライター

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 山﨑登(NHK)

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』著書のページ
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-781513-9&mode=1

会見リポート

現場の取材重ね感じた「死を想え」

山﨑 登 (企画委員 NHK解説主幹)

佐々さんは「20歳代の後半、結婚後に仕事をしたいと思い立ち、日本語の教師をしていたとき、日本で暮らしながら片言の日本語しか話せない人たちと接していて、日本人とほとんど話したことがないような人たちが病気をしたり、事故にあって亡くなったらどうなるのだろうと感じたのがきっかけでした」と話し始めた。国境を越えて遺体や遺骨を故国に送り届ける「国際霊柩送還」という仕事を通して、海外の死をテーマにすることは15年越しだという。

その後ライタースクールに通って機会を探ったが、死をテーマにしたノンフィクションは売れないと、多くの出版社の人に言われたそうだ。それでもほとんど知られていない海外で亡くなった人のその後は書くべきテーマで、多くの人に知ってほしいという気持ちは変わらなかった。

転機となったのは2011年3月11日の東日本大震災の発生で、多くの人が死を身近なものとして考えるようになったからではないかと感じた。死の現場の取材は、亡くなった人や遺族のプライバシーの問題と向き合わなければならず、何が正解なのかわからないままに手探りでやってきたが、大切なことは誠実さや熱意をわかってもらうことだと思うと語った。

死の現場を取材してわかったことは、家族の死をきちんと受け止めるためには、きちんと別れることが重要だということ。また人は生きてきたように、亡くなるのではないかという感想を持った。

高齢化社会では、多くの人が医療機関ではなく家庭で亡くなるようになるとして、次作では「在宅医療」をテーマに取材を進めていると言う。重いテーマが続くが、死を見つめることは「現代人の生きかた」を考えることにつながるとして、ゲスト恒例の揮ごうは「死を想え」と記された。

ゲスト / Guest

  • 佐々涼子

    フリーライター

研究テーマ:著者と語る『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』

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