2013年04月24日 10:30 〜 11:30 10階ホール
グローサー ニュージーランド貿易相 記者会見

会見メモ

ニュージーランドのグローサー貿易相が、「日本とニュージーランド:TPPと国際通商政策、われわれはどこに向かっているか」と題して、スピーチをした。TPPをより重要なイニシアティブにするものとして、日本の交渉参加を歓迎する。交渉にあたっては、農業や自動車などのセンシティビティーの分野であっても、貿易自由化の対象から外すことはない、とも述べた。

司会 日本記者クラブ企画委員 実哲也(日経新聞)

通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

「TPP参加 正しかったと言える日が来る」

金子 淳 (毎日新聞外信部)

環太平洋経済連携協定(TPP)は4月20日、交渉参加11カ国が日本の参加を承認した。会見が行われたのはこの4日後。必然的に話題はTPPをめぐる問題に終始した。
「日本の参加をニュージーランドとして非常にうれしく思う」。グローサー氏は冒頭、日本の決断を歓迎。一方で、「農業や自動車などの分野は何であれ、自由貿易から外すことで対処するものではない」と述べ、米などの重要品目について配慮を求める日本をけん制した。さらに「電気が発明された際、ある種の人がいたら、ろうそくメーカーへの影響を恐れて反対しただろう」と述べ、TPPがもたらす変化を恐れるべきではないことを強調した。
ニュージーランドは農業に対する補助金を廃止したことで知られる。国内では当初「農業を崩壊させる」と強い抵抗があったが、「実際はすべて逆のことが起きた」という。その一例として、国際市場で自国産ワインが高値で取引されていることを挙げ、「高品質なら高価格で取引される。日本の農業にも面白い未来があるはずだ」と楽観的な見方を示した。
ウルグアイ・ラウンドのニュージーランド首席交渉官やWTO(世界貿易機関)大使を歴任し、国際貿易交渉で幅広い経験を持つ。それだけに貿易自由化への熱意は大きいとみられ、会見ではTPPのポジティブな側面ばかりが強調された。だが、日本では農業者を中心にTPPに対する賛否はいまだに渦巻いており、どんな未来が待っているのか不安に思う人も少なくない。「10年後、20年後のアナリストは、『あのときの決断は正しかった』と審判を下してくれることだろう」。その言葉が真実なのか、今後の推移を見守っていきたい。

ゲスト / Guest

  • ティム・グローサー / Tim Groser

    ニュージーランド / New Zealand

    貿易・気候変動問題国際交渉担当相 / Minister of Trade

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