2013年04月19日 12:00 〜 13:30 10階ホール
程永華 駐日中国大使 昼食会

会見メモ

程永華・駐日中国大使が3月の全国人民代表大会(全人大)での習近平体制発足をうけ、①「中国の夢」、②経済の動向、③対外関係、④中日関係について話した。

会見リポート

日本通の大使 「もう一言」言及してほしかった

古谷浩一 (朝日新聞国際報道部次長)

程永華大使と最初に取材でお会いしたのは、2000年のことだったと思う。当時も中国外務省アジア局の副局長として、日中関係を担当されていた。今回の大使勤務を含め日本生活はトータルで20年以上。日本のことを知り尽くした中国政府きっての日本通である。
こうした人が、「(国交正常化以来)最も厳しい局面」と自ら言うような日中関係で、中国の駐日大使を務めているというのは何とも皮肉なものだ。4月19日の日本記者クラブの昼食会で、両国関係の現状について「心を痛めている」と言ったのは、まさに本音だろうと思う。
昼食会での発言内容は、慎重に言葉を選びながら、中国政府の立場を丁寧に説明するものだった。中国外務省の報道官から聞くような公式な発言も多かったが、仕方あるまい。この局面で、踏み込んだ発言をすることは、日中双方の世論を刺激しかねないとの配慮に違いない。
気になったのは、程氏が繰り返し語ってきた「中国は平和発展を進めます」との中国外交の説明の部分だった。以前の程氏の説明ならば、ここまでだが、この言葉の後に最近の中国政府の決まり文句が続いたからだ。
「主権と領土を守ります」
以前はわざわざ言っていなかった、この言葉を強調しなければならないのが、まさに今の中国なのだろう。程氏は「この2つ(平和発展と領土保全)は矛盾しない」と説明したけれども……。
日本を含む周辺国の多くの人々が、こうした中国の姿勢の変化に不安を感じていることを、程氏ならば、よくご存じだと思う。多くの日本の記者たちを前に、もう一言、そのことに対する言及をしてもらえなかったものか。ちょっと残念に感じた。

ゲスト / Guest

  • 程永華 / Cheng Yonghua

    中国 / China

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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