会見リポート
2013年04月23日
15:00 〜 16:00
宴会場(9階)
グリア OECD事務総長 記者会見
会見メモ
OECDのグリア事務総長が対日審査報告書を発表した。アベノミクスが日本を変えたとして、「三本の矢」の政策に導かれ、日本がさまざま課題を克服し、目標を達成することを確信していると語った。
グリア氏のほか、ランダル・ジョーンズOECDシニアエコノミスト/経済局日本・韓国課長(Randall Jones, Head of the Japan/Korea Desk, Economics Department)と、ケン・アッシュOECD貿易農業局長(Ken Ash, Director of Trade and Agriculture Directorate)も同席した。
司会 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)
同時通訳 池田薫、西村好美(サイマル・インターナショナル)
OECD東京センターのホームページ
会見リポート
海図なき航海へ アベノミクスへの期待と注文
安部順一 (読売新聞調査研究本部主任研究員)
もっとも、それを真に受けるわけにもいくまい。賛辞の裏には、なかなか動こうとしなかった過去の日本へのいら立ちが感じられるし、やっと動き出した以上は「ほめて育てよう」との思惑も見え隠れする。
実際に、アベノミクスの評価を盛り込んだOECDの対日審査報告書は、「3本の矢」のうち、金融政策は歓迎しつつも、財政政策や成長戦略には厳しい注文を付けている。グリア氏が身ぶり手ぶりを交えて強調したのも、この点だった。
財政政策については、「最近の進展には期待が持てるが、重大な問題に触れないわけにはいかない」と前置きし、消費税率10%への2段階引き上げを計画通り実施して社会保障など歳出を削減するだけでなく、さらなる増税の必要性を指摘した。
成長戦略についても、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加が他の交渉参加国から認められたことを「お祝いを申しあげたい」と持ち上げたうえで、農業やエネルギー分野、労働市場の改革を促した。
ただ、デフレ脱却の難しさはグリア氏も認める。2%のインフレ目標が2年で達成できなくても、「失敗と決めつけてはいけない。最良のプログラムでも調整は必要だ」と政策スタンスを堅持するよう求めた。
「海図なき航海に乗り出そうとしている」。そんなひと言に、アベノミクスに注がれる期待と今後の険しい道のりが象徴されていた。
ゲスト / Guest
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アンヘル・グリア / Angel Gurria
経済協力開発機構 / OECD
事務総長 / Secretary-General