会見記録/昼食会/研究会

2013年4月22日    15:00〜 16:30
作詞家・作家 なかにし礼     10階ホール

氏名 なかにし礼  Name Rei Nakanishi
日本 Nation Japan
肩書 作詞家・作家 Title Songwriter
研究テーマ 著者と語る『生きる力 心でがんに克つ』

会見メモ

陽子線治療によって、食道がんを切らずに社会復帰した、なかにし礼さんが「現代のガン治療と患者の選択」のテーマで自身の闘病生活や陽子線治療に至るまでの経緯を話した。ゴッドハンドと呼ばれる外科の医師からは「切ったほうがいい。切れば治ります」と言う。しかし心臓が悪く手術に耐えられるか不安だった同氏は、別の治療方法はないかとインターネットを駆使して探したところ、陽子線治療を見つけたが、医師たちは誰もその治療法を教えてくれなかった。患者に選択肢が与えられていないのではないか。医師会の階層構造や新たな治療法を報道しないメディアに対する問題提起の会見となった。

司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)

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作詞家・作家 なかにし礼  写真 1 作詞家・作家 なかにし礼  写真 2 作詞家・作家 なかにし礼  写真 3    

記者による会見リポート

がん治療の〝ゴッドハンド〟には頼らない

研究テーマ:著者と語る『生きる力 心でがんに克つ』

なかにし礼氏の著書『生きる力 心でがんに克つ』が売れている。昨年2月から6月にかけての食道がんとの闘いの物語である。
声が出にくい、口臭がするといった自覚症状で胃カメラ検査を受け、食道がんのステージⅡの後半と診断される。毎年健康診断を欠かさなかったが、前年は東日本大震災のため健診しなかった。
しかし「最初はゴッドハンドに診てもらえば治るという安易な気持ちだった」。紹介される名外科医に会うと、異口同音に「切れば治る」という。抗がん剤と放射線治療を併用するともいう。食道がんの手術は難しい。切って短くなった食道をつなぐために、腸や胃を剝がして持ち上げる。出血しやすく時間がかかる。「自分の心臓は長い手術や放射線治療には耐えられないと訴えるが、どの医師も切りたい一心だった」という。
そしてある時、トーマス・マンの『魔の山』を思い出し、「突然目覚めた」。「紹介されるままに医師巡りをしていたが、自分の意思で生きる手だてを探していないことに気づいた」というのだ。
それからは手術をしないで治す方法を、インターネットを活用して探し始めた。そして夫人が陽子線療法の存在を見つけた。この陽子線療法というのは、放射線療法と違ってエネルギーを絞ることができ、他の組織に障害を与えない新しい療法だ。この療法を国立がんセンター東病院で受け、死の淵から生還できた。
こんな素晴らしい治療法があるのに、がん治療のゴッドハンドたちはなぜ紹介してくれなかったのか。「日本の医療は伝統に縛られて、新しい医療が進まない」と怒りを訴える。
日本ではがんの治療は、まだ外科医が中心の病院が多い。手術だけでなく、抗がん剤の投与も、放射線の照射も自らやってしまう。最近ようやく欧米のような腫瘍内科医が出始めている状況だ。なかにし氏の話は、自分の死の淵からの生還物語から日本の医療批判に及んだ。


日経BP参与 澤井 仁
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