2013年03月29日 09:30 〜 10:30 10階ホール
パンゲストゥ インドネシア観光・クリエイティブエコノミー相 記者会見

会見メモ

インドネシアのパンゲストゥ・観光相・クリエイティブエコノミー相は、①最近のインドネシア経済の動向、②日本の投資、③日本人向けの観光促進策、④WTO事務局長への立候補の理由について話した。日本の投資については、自動車、エレクトロニクス産業を中心に、増加する中産階級を対象にした国内市場と、アセアン諸国向けの生産拠点の両面から活発化しているとした。観光では、グレイ・ツーリズムを推進し、長期滞在ビザを出し、医療機関の整備も行っていきたいと語った。日本との経済連携協定(EPA)を通じ日本での研修経験がある、日本語のできる介護福祉士、看護師の採用も視野に入れたものにしたい、とも。WTO事務局長の立候補については、自分が前職の貿易相時代を含め国際貿易の世界に25年も携わってきたことで、政府の推薦を受けた。インドネシアはG20中で15位の経済規模をもつ国になったが、自由で公正なルールに基づいた多角的な貿易体制の恩恵を受けた。新興国が自分たちと同じような機会を得られるようにするためにも、こんごもこの体制を守っていくのは重要である、と。

司会 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)

通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)

インドネシア観光・クリエイティブエコノミー省の公式ホームページ(日本語)

http://www.visitindonesia.jp/index.html


会見リポート

WTO次期事務局長候補 意欲と頼もしさ前面に

小此木 潔 (企画委員 朝日新聞記者)

貿易相を7年間もつとめ、国際会議を取材した経験のある記者たちによく知られるパンゲストゥさんは、世界貿易機関(WTO)の次期事務局長候補として注目される存在。会見の冒頭では、観光・クリエーティブエコノミー相としてインドネシアの経済発展の展望を語ったが、質疑はWTOや貿易をめぐるやりとりに終始した。
もともと経済学者だけに、「2億5千万のインドネシア人口のうち、中間層は4千5百万人だが、2030年には1億3千万人になる」「日本企業にとってASEANや東アジアへの供給基地としてインドネシアの重要性が増す」などと、立て板に水の説明。クリエーティブエコノミーについては、映画やゲーム、音楽、ファッション、アニメなどの産業発展をめざすと述べた。
WTOに関しては「2国間や地域ごとの自由貿易協定(FTA)では確保できない多角的な自由貿易の体制を育てていく重要な使命がある」と語った。さらに「貧しい途上国が自由貿易から取り残されないようにしたい」「小国が大国を相手取った紛争処理の場を確保するためにもWTOは重要だ」と強調。
WTOの存在意義や活性化の展望を語る表情からも、公正なルール作りや事務局長への強い意欲がうかがわれ、記者たちを引きつけるような迫力があった。
一方、インドネシアが環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に参加していないことに関しては、「民主主義」ゆえの意思決定の難しさがあると述べた。また、TPPそのものが貿易だけでなく政府調達や知的財産権、競争政策など多くの分野にまたがるので、評価や取り組みが難しいと、率直に語った。
G20の一員として自信をつけ、ますます重きをなすインドネシアの頼もしさを感じた。

ゲスト / Guest

  • マリ・パンゲストゥ / Marie Elka Pangestu

    インドネシア / Indonesia

    観光・クリエイティブエコノミー相 / Minister of Tourism and Creative Economy

前へ 2024年03月 次へ
25
26
27
28
29
2
3
4
5
9
10
11
12
16
17
20
23
24
30
31
1
2
3
4
5
6
ページのTOPへ