2013年03月18日 15:45 〜 17:15 10階ホール
歌舞伎座開場記念 記者会見

会見メモ

Junichi Sakomoto, President & CEO, SHOCHIKU Co., Ltd.
Tadashi Abiko,Executive Managing Director , SHOCHIKU Co., Ltd.
Nakamura Kichiemon, Kabuki Actor
歌舞伎座の再開場を前に、松竹の迫本淳一社長、安孫子正・専務・演劇本部長、日本俳優協会専務理事で歌舞伎俳優の中村吉右衛門が会見した。迫本社長は、冒頭、歌舞伎と歌舞伎座の歴史や新劇場の主な特徴などについて説明した。伝統と革新を調和させる。古典の継承と新しい作品を作りだしていくことが、歌舞伎発展の両輪だ、と強調した。中村吉右衛門さんは、先代・吉右衛門と自分の歌舞伎座とのゆかりについて話した。古典を次の世代につないでいくのが自分の役割だとして、これまでの歌舞伎座が歌舞伎の殿堂であったように、第5期となる新しい歌舞伎座も殿堂にできたらよいと思う、と語った。我孫子専務は、「観劇料だけで、すべての興行を成り立たせている。国の援助もなく、過去400年間、この形態で歌舞伎は生きつづけている。これは国民の素晴らしさを示すもので、こんな演劇興行の形態をもっている国は、他にない」と。
司会 日本記者クラブ企画委員 川戸恵子(TBS)
歌舞伎座ホームページ http://www.kabuki-za.co.jp/
松竹ホームページ http://www.shochiku.co.jp/

会見リポート

時代の空気取り込んで変化

小玉 祥子 (毎日新聞学芸部編集委員)

新しい歌舞伎座が約3年の建て替え期間を経て4月2日に再開場した。現在地(東京都中央区銀座)に第1期の建物が1889年に誕生し、今度が第5期になる。

400年以上の歴史を持ちながら、私企業の松竹の興行として成立している歌舞伎は、世界の伝統芸能でも稀有な存在だ。松竹の演劇部門を統括する安孫子正専務も「古典芸能でありながら、どこからも補助を受けず、観劇料で興行が成り立っている。こんな演劇を持つ国は世界にありません」と自負を見せる。

この20数年は歌舞伎興行も順調であったが、過去には不入りの時代もあった。新劇場に歌舞伎座タワーと名付けた29階建てのオフィス棟を併設したのも、迫本淳一同社社長によると「テナント収入で年間に50億円強の売り上げ増を見込み、経営を安定化させる」ためだ。

歌舞伎座建て替えの3年間に、第4期歌舞伎座の主力を担った俳優の内、中村富十郎、中村芝翫、中村雀右衛門、中村勘三郎、市川團十郎の5氏が世を去った。

「葺落」の4、5、6月興行で團十郎さんが予定されていた2役を加え、8役を演じる中村吉右衛門・日本俳優協会専務理事は「俳優が一丸となって盛り立てないといけない。体が持つか心配ですが、命がけなのを、次の世代を担う方たちが見て、やる気になってくれたらと期待しています」と強い決意を示した。

第5期の建物は1924年に完成した第3期の形状を踏襲している。オフィス棟と伝統を感じさせる劇場。2つの建物の共存が、古典でありながら、時代の空気を取り込んで変化し続けてきた「歌舞伎」の写し絵のようにも感じられる。


ゲスト / Guest

  • 松竹:迫本淳一・社長、安孫子正・専務取締役    日本俳優協会:中村吉右衛門・専務理事

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