会見記録/昼食会/研究会

2013年3月26日    13:30〜 15:00
フィンナンシャル・タイムズ前東京支局長、現スコットランド特派員 ミュア・ディッキー    宴会場(9階)

氏名 ミュア・ディッキー Name Mure Dickie
肩書 フィンナンシャル・タイムズ前東京支局長、現スコットランド特派員 Title Former Tokyo Bureau Chief for the Financial Times

会見メモ

フィナンシャル・タイムズのミュア・ディッキー前東京支局長(現スコットランド特派員)が、「沈みいく国への覚書:日本の現状と前途についての私的考察」と題して話した。

冒頭、沈みいく日本のイメージは以前に読んだ、小松左京の『日本沈没』からきていることを明らかにした。東日本大震災もあり、これを4年間の滞在中、よく想起した、という。取材のエピソードを交えながら、以下の項目を中心に取り上げた。

①東日本大震災の被災者や日本人が示した自己規律の高さ、尊厳、ストイシズム

②政府、東電の福島原発事故に対する処理能力の欠如と信用の失墜

③「安全神話」を長く見直さなかった主流メディアの怠慢

④日本の政治・経済の停滞

⑤中国の台頭と日本の相対的な影響力低下

⑥尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化

⑦日本経済再生への提案

ゲストにお願いしている、ゲストブックの揮毫は、スピーチタイトルとは異なり、“Don’t sink Japan”と書きそえた。

司会 石川洋 日本記者クラブ企画部長

通訳 澄田美都子(サイマル・インターナショナル)

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フィンナンシャル・タイムズ前東京支局長、現スコットランド特派員 ミュア・ディッキー 写真 1 フィンナンシャル・タイムズ前東京支局長、現スコットランド特派員 ミュア・ディッキー 写真 2      

記者による会見リポート

沈む国・危機乗り切る余力は十分にある

2008年から昨年末の総選挙まで4年間東京支局長を務めた。それ以前は台北、北京特派員。日本語も中国語もできる。剣道4段。そんな経歴のディッキー氏だが、一転して今はFTのスコットランド特派員だ。

ロンドンに本社を置くイギリスの新聞のスコットランド特派員とは?「自分はエディンバラ生まれのスコットランド人だが、東京支局長として日本をカバーしたと同じように、エディンバラからスコットランドをカバーする」のだという。スコットランドは連合王国(イギリス)からの独立志向が高まり、2014年には独立の是非を問う住民投票が行われる。一方、イギリス自体が欧州連合にとどまるべきか否かの国民投票も数年以内にある。欧州はばらばらになるように見えるが、統合の歴史的底流は脆弱なものではないという。

「沈む国」という演題でディッキー記者が語った日本の姿──首相の頻繁な交代、長引く経済の停滞、何度も思い浮かべたという小松左京の『日本沈没』を地でいくような大震災、尖閣など外交の失敗──はおなじみのことだったが、同じく経済的苦境にあるイギリスでは「破滅」とか「崩壊」のような終末論的な言葉はほとんど聞かないそうだ。

日本人はあまりにも悲観的で、これでは若い人に未来に向かって元気を出せとは言えまい。日本にはテクノロジーはじめ危機を乗り切る余力がまだ十分ある、という見立てだ。アベノミクスの行方はともかく、日本にその力があることを国民に思い起こさせる効果は認めるという。

中国の高圧的態度はアジアの国際関係にとって大問題だが、日本が中国にしっかり対処するには経済の立て直しがまず重要。中国は共産党独裁政権に毒されているが、もともとは民主的な国民だという。時間をかけて冷静に対処するほかないが、やがてアジアの海に欧州統合のようなビジョンが生まれることが夢だ、と締めくくった。


日本経済新聞出身 石塚 雅彦
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