2013年02月22日 10:30 〜 11:30 10階ホール
カタトニ エジプト政権与党党首 記者会見

会見メモ

カタトニ党首は、革命2年後のエジプトの内政、経済状況について説明した。

内政については、現在は移行期であり、国民議会選挙を経て、2~3月以内に治安情勢が安定することを期待すると語った。

党としては、全野党との聖域を設けない対話を行い、国民の理解を得るためにあらゆる障害を取り除いていくつもりだ、とした。

エジプト経済は悪化しており、補助金問題などでIMFとの救済交渉は停滞している。補助金の一律減額を求められているのではなく、富裕層へのカットなどで新たな計画案を提示すれば、合意が得られるのでは、との見通しを示した。

司会 日本記者クラブ企画委員 脇祐三(日経新聞)

通訳 新谷恵司


会見リポート

国民和解に努力 柔軟さ示すムスリム系与党

吉岡 良 (時事通信外信部)

 長期独裁政権の打倒が相次いだ2011年の「アラブの春」以降、アラブ世界でイスラム主義勢力の台頭が著しい。その代表的存在とも言えるエジプトのムスリム同胞団が設立した政党「自由公正党」の党首を務め、同胞団出身のモルシ大統領を支えるのがカタートニー氏だ。

 ムバラク政権崩壊から2年の歳月を経て、なお混乱が続くエジプト。モルシ政権下でのイスラム化推進、強権体質復活に対する懸念が国内外で高まっている。こうした声を意識してか、カタートニー氏は会見で「国民和解のため、あらゆる努力をしたい」と語るなど、政治的な柔軟さをアピールしていた。

 新生エジプトの民主主義の要と位置付けられる新憲法をめぐっては、同胞団主導の制定作業に対して世俗・リベラル派が強く反発し、国内対立が深刻化している。新憲法は既に国民投票で承認されているが、カタートニー氏は「各政治勢力による対話を通じ、聖域を設けず全ての問題を話し合う。その結果、前向きに改正に応じる」と語った。一方、国際関係では、国際通貨基金(IMF)との融資交渉の停滞打開に向け、前向きに対応する意欲を示した。

 会見が行われたのは5日間の訪日の最終日だった。カタートニー氏は「衆院議長、外相など日本の多くのVIPに会うことができ、協議の中で2国間関係を深める方策について、非常に重要な議論を交わすことができた」と述べる一方、「日本側にエジプト情勢について説明し、シリア問題など地域情勢、国際情勢についても共通の理解に達することに成功した」と表明。4月から6月にかけて行われる人民議会選を経て、エジプトの治安情勢が安定してきた暁には「さらなる日本の投資、とりわけ工業分野でアフリカマーケットを開拓するような投資を期待する」と語った。


ゲスト / Guest

  • サアド・アル・カタトニ / Saad Al-Katatni

    エジプト / Egypt

    自由公正党党首 / Chairman of the Freedom and Justice Party

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