2013年02月21日 15:00 〜 16:30 宴会場(9階)
シリーズ企画「3.11大震災」福島県双葉地方のいま

会見メモ

遠藤雄幸・川内村長(震災時の双葉地方町村会会長)と増子輝彦・民主党副代表(参議院議員、福島県出身)の両氏が復興の現状や課題について詳しく説明した。

遠藤村長は「昨年1月に川内村は帰村宣言を行い、これまでに村民の約4割にあたる1200人が戻ってきている。双葉地方の他の町村に比べれば恵まれているが、森林除染や中間貯蔵施設選定はすすんでおらず、悩ましく難しい問題を抱えている」とした。

中間貯蔵施設問題について、増子議員は「仮置き場が中間貯蔵地になってしまうのではとの不安が住民にある。この問題を解決できるのは行政のトップである首相しかないというのが自分の考えだ」と語った。

司会 日本記者クラブ企画委員 瀬口晴義(東京新聞)

双葉地方町村会のウェブサイト

http://www.futaba8.jp/


2011年4月5日に行った双葉地方の町長・村長8名と同議長会7名による会見はこちら。

http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2011/04/r00022479/


会見リポート

原発事故 村民の心を分断

瀬口 晴義 (企画委員 東京新聞論説委員)

「同じ被災者同士が(避難や帰村をめぐって)非難したり、中傷したりして、原発事故が村民の心を分断している。今までなかったことが起きているんです」。遠藤村長(右)の悲壮な言葉に、原発事故の罪深さが凝縮されているような気がした。

福島第一原発に近く、住民の多くが避難を余儀なくされた浜通り。放射線性物質に汚染された範囲や濃度は双葉地方の8町村でそれぞれ大きく違っている。川内村は放射線線量が比較的低く、遠藤村長は「双葉郡全体では恵まれている」という。

「戻りたい人から戻りましょう」と、8町村の中で最初に遠藤村長が「帰村宣言」をしたのは昨年1月31日だった。4月には役場機能も戻し、行政サービスも整えた。帰村宣言した時、250人が戻っていたが、昨年11月までに元の人口の4割に当たる1163人が帰村した。「除染も進んでないのに理解できない」と言う人もいた。「自分の故郷に戻るだけのことがこんなに難しいのか」と振り返る遠藤村長の言葉には実感がこもる。子どもたちの帰村は全体の2割程度だ。年間1・以下にならなくては戻らないという親も多い。避難が長引くほど帰村は難しくなる。

住宅地の除染はほぼ終わったが、山林の除染をどこまでやるのかという難問が立ちふさがる。除染後の廃棄物の仮置き場もすでに満杯になりつつある。3年後には中間貯蔵施設に運び出す約束だが、建設計画は遅々として進まない。明るいニュースは、民間企業3社が村内に工場をつくり、新たな雇用を確保できるめどがついたことだという。

福島県選出の増子参院議員(民主党副代表)は「永田町や霞が関では原発事故は風化しつつある」と指摘した。風化が進むことは、原子力ムラにとって好都合であることを胸に刻みたい。


ゲスト / Guest

  • 遠藤雄幸・川内村長(震災時の町村会会長)、増子輝彦・民主党副代表(参議院議員、福島県出身)

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」福島県双葉地方のいま

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