2013年02月18日 13:30 〜 15:00 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」「日独エネルギー政策の比較」梶山恵司 富士通総研経済研究所上席主任研究員

会見メモ

日本記者クラブのシリーズ企画「3.11大震災」で、梶山恵司・富士通総研経済研究所上席主任研究員が、「日独エネルギー政策の比較」について話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)

富士通総研の梶山氏のウェブサイト

http://jp.fujitsu.com/group/fri/economic/people/kajiyama.html


会見リポート

経済社会の活性化につながるエネルギー政策を

知野 恵子 (読売新聞編集委員)

 東京電力福島第一原発事故から2年。国内のほとんどの原発が停止する中、エネルギー政策をどうかじ取りするか、喫緊の課題になっている。

 民主党政権は昨年、「2030年代に原発ゼロ」を目指す戦略を打ち出した。安倍首相は、これをゼロベースで見直す方針だ。安全性の高い原発の新設に意欲を見せるとともに、太陽光などの再生可能エネルギーの開発も進めると発言。今後10年で、電源構成のベストミックスを目指す方針だ。議論や検討はこれから本番を迎える。

 そんな折、ドイツのエネルギー問題に詳しい梶山恵司さんの講演が行われた。ドイツは福島第一原発事故後、原発全廃を決め、再生可能エネルギーに軸足を移した。電力会社が再生可能エネルギーを固定価格で買い取る仕組みを導入し、普及促進を図っている。

 しかし、早くも壁にぶつかっている。買い取り価格が、電気料金に上乗せされるため、料金の値上がりが止まらないからだ。梶山さんは「太陽光パネルの価格が下がる一方、買い取り価格は高止まりをしている。もうかる事業になっているため、どんどん太陽光発電が拡大した」と分析する。

 日本も昨夏から、同様の制度を始めた。やはり、買い取り価格が高いことが問題という。「価格について透明性がない。基本的理念がない。専門家が間に入って決めるべきだ」

 日本ではエネルギーというと、「原発か再生可能エネルギー」かの二者択一で語られがちだ。しかし、それは狭すぎる考え方だという。「エネルギー効率をいかに向上させるか、エネルギーをどう節約するか、科学的データに基づいた議論」なども必要と指摘した。資源小国日本。「けちけちと我慢するだけでなく、経済社会の成長につながるエネルギーマネジメントが大切」。そう力を込めた。


ゲスト / Guest

  • 梶山恵司 / Hisashi Kajiyama

    日本 / Japan

    富士通総研経済研究所上席主任研究員 / Senior Research Fellow, FUJITSU RESEARCH INSTITUTE

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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