会見リポート
2013年02月06日
13:30 〜 15:00
10階ホール
「北・西アフリカ情勢」 AFP東京支局長にきく
会見メモ
ルイルリーAFP通信社東京支局長が、北西アフリカ情勢について話し、記者の質問に答えた。同氏は、コートジボワールやナイジェリアの支局長、アフリカ担当デスクも務めています。
司会 日本記者クラブ理事 会田弘継(共同通信)
通訳 臼井久代
AFP通信のウェブサイト
会見リポート
北アフリカの過激派台頭 欧州波及に歯止めを
杉山 文彦 (時事通信外信部長)
フランスの「大いなる田舎」と呼ばれる西部のブルターニュ半島出身。どことなく素朴さも漂う風貌(失礼!)だが、長年追ってきたアフリカ情勢についての分析は示唆に富む。特にルイルリー氏が警鐘を鳴らしたのは、アルジェリア人質事件で注目されたイスラム過激派の台頭という問題だ。
北アフリカでは2年前の民主化運動「アラブの春」以降、チュニジア、エジプト、リビアで独裁体制が倒れた。ところが熱狂が冷めた今、どの国も民主主義を確立できず、政権を握ったのは結局、組織力を持つイスラム勢力だった。「アラブの春」でなく「アラブの冬」「イスラム主義者の春」と言った方がよい、と同氏は話す。
「『パンドラの箱』を開けてしまったと言う人もいる。イスラム原理主義という『悪しき霊』が出てきて、悪さをするのではないかと」
リビアでは内戦中に使われた武器が周辺国へ流出した。それを国際テロ組織アルカイダとつながりがあるイスラム過激派が使い、アルジェリアの隣のマリ北部を占領した。そこで旧宗主国フランスが軍事介入に踏み切ると、過激派は報復を理由に、あの残虐な人質事件を起こした。
「宗教の政治的利用、特に宗教を暴力に使う蛮行は、イスラム教そのものを侵害する」。政教分離の考えが徹底したフランス人のルイルリー氏は、イスラム原理主義を強く批判した。
北アフリカでの過激派台頭は、地中海の対岸に位置する欧州にとって、深刻な脅威になりかねない。
「イスラム主義者の台頭と同時に、こういう国からどんどん移民も欧州へ入ってくる。(過激派の台頭に)歯止めをかけることを、今やっておく必要がある。フランス人の65%が介入を支持している。私もその一人だ」
愛国心が人一倍強いベテラン記者は、制限時間を過ぎても熱く語り、テロ拡大を封じ込めるための国際協力の必要性を真剣な表情で訴えた。
ゲスト / Guest
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ジャック・ルイルリー / Jacques Lhuillery
AFP通信社東京支局長 / Bureau Chief, Tokyo Bureau of Agence France-Presse
研究テーマ:北・西アフリカ情勢