会見リポート
2013年01月16日
14:00 〜 15:30
10階ホール
研究会「権力移行期の世界 ⑬ 韓国」 深川由起子 早稲田大学教授
会見メモ
研究会「権力移行期の世界」で、早稲田大学の深川由起子教授が、韓国経済について「朴槿恵政権を迎える韓国と日本の対応」のテーマで話し、記者の質問に答えた。
司会 村田泰夫 日本記者クラブ企画委員
深川由起子教授のページ(早稲田大学HP)
会見リポート
日韓関係 切り札は北朝鮮への共同対処
桜井 泉 (朝日新聞国際本部)
選挙は、盧武鉉元大統領の側近だった民主統合党・文在寅氏との保革一騎打ちだった。深川さんによると、争点は「経済民主化」。経済成長を優先し全てを解決する、との考えが強かった李明博政権のもと、財閥はもうけたが、庶民の生活は苦しく、経済格差が拡大した。そこで朴氏は「幸福社会建設」を掲げ、分配重視を打ち出した。
世代ごとに支持候補が分かれた。20代、30代の多数は文氏、50代以上は朴氏を支持、50代前半のベビーブーマーの投票率が9割近かった。リストラや年金医療保険の未整備に直面し、子どもたちは就職できない。文氏は財閥規制を訴えたが、盧時代のアマチュアによる混乱を繰り返すのは不安だ。危機感を強めた中高年が一斉に朴氏になびいたという。
李大統領の竹島上陸で最悪となった日韓関係だが、ともに資源小国で、少子高齢化にも直面しており、資源外交や人的資源の活用で協力できる。民間交流は、中国と異なり活発だ。切り札は、不透明感を強める北朝鮮への共同対処だという。
李政権下で根付いた対日観は、未成熟なメディアの影響もあり、「国際競争の負け組である日本から学ぶものはない」という紋切り型だそうだ。韓国社会では、力のある人の周囲に人々が集まる。国もそうだ。日本が哀れな姿を見せ続ければ、日韓関係はうまくいかない。身を切るような構造改革で経済成長を回復し、「底力がある国だ」と思わせれば対話も開ける、との結論にうなずく。
安倍政権の覚悟はいかに。歴史を巡り無用な摩擦を起こす暇はない。
ゲスト / Guest
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深川由起子 / Yukiko Fukagawa
日本 / Japan
早稲田大学教授 / Professor, Waseda University
研究テーマ:権力移行期の世界
研究会回数:0