2012年12月21日 13:00 〜 14:30 10階ホール
研究会「衆院選後の日本-民意をどう読むか」② 待鳥聡史 京都大学大学院教授

会見メモ

研究会「衆議院選挙後の日本―民意をどう読むか」の2回目のゲストとして、京都大学大学院の待鳥聡史教授が話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)

待鳥教授のページ(京都大学大学院HP)

http://lawschool.law.kyoto-u.ac.jp/teacher/profile/law/machidori.html


会見リポート

「衆院の優越性」拡大を

泉 宏 (企画委員 時事通信出身)

まず、「私は何者か?」から話を始めた待鳥教授。41歳の気鋭の政治学者だが、スタートはアメリカ政治で、大統領と議会の関係を研究したことが日本政治の分析につながったという。


自公圧勝で政権再交代となった今回の総選挙結果は「自公の『負託なき圧勝』」と断言、「有権者が自民党への期待より民主党への制裁を優先した結果」と分析した。メディアの事前情勢調査や出口調査の数字と戦後最低の投票率を踏まえ、「民主党もダメだが、第三極も信用できないと悩んだ有権者が自公か棄権を選択したのでは」と推測する。


では、問題はどこにあったのか。多くの専門家は小選挙区比例代表並立制の弊害に言及しているが、「小選挙区制導入時に改革されないまま残された領域に問題がある」と指摘。特に、衆参両院の相互の位置づけが衆参ねじれの弊害をもたらしているとして、「衆院の優越性」拡大が現実的だと主張する。視線の先にあるのは衆参両院の新たな位置づけとそれを実現するための衆参両院ワンセットでの抜本改革だ。一人だけを選ぶ小選挙区制による「政治家の劣化」についても「むしろ政党がしっかりするべきで、個々の政治家の『粒の大きさ』は本質ではない」と疑問を投げかける。


有権者が不安を持つ現在の日本政治の在り方については、「これから決断しなければならない負担増と給付削減が民主主義の最難問」と指摘し、今回のように「自公圧勝」をもたらした現行選挙制度を「(僅差でも圧勝につながる)〝多数派ボーナス〟によって代議制の持つ意見集約機能が重要になる」との理由から「それほど悪い仕組みではない」と力説した。


最後に、大惨敗で今後の党の進路が問われる民主党は「社民主義を軸とした中道左派を目指すべきだ」と政治の右傾化への歯止め役に期待する考えを示した。


ゲスト / Guest

  • 待鳥聡史 / Satoshi Machidori

    日本 / Japan

    京都大学大学院教授 / Professor, Kyoto University

研究テーマ:衆院選後の日本-民意をどう読むか

研究会回数:0

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