2012年12月13日 14:00 〜 15:30 宴会場(9階)
研究会「権力移行期の世界 ⑫ 韓国」奥薗秀樹 静岡県立大学准教授

会見メモ

12月19日に投開票が行われる韓国の大統領選挙について、奥薗秀樹・静岡県立大学准教授が情勢を分析し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 山岡邦彦(読売新聞)

奥薗教授のブログ(霞山会HP内)

http://www.kazankai.org/korea_list.html


会見リポート

「新しい風」が吹いた「リセット効果」は?

阪堂 博之 (共同通信編集委員)

韓国大統領選の6日前に情勢分析を披露した。大接戦だったから、事前の予測には的中したものも、そうでないのもあるが、記者出身の研究者らしく、現地取材を生かした分析は的確だった。事前予測を除いた内容は次の2点に集約される。


一つは韓国政治に吹いた「新しい風」である。政治経験皆無の安哲秀氏が人気を集め、選挙戦中盤まで野党の有力候補として取りざたされた事実を指す。1987年の民主化以降、韓国政治は地域主義、続いて理念対立の時代が続いた。


そして「経済大統領」を標榜した李明博氏が登場したが、この5年間で期待は失望に変わった。「安哲秀シンドローム」は既成政治への失望感の現れだった、という指摘である。


しかし、安哲秀氏の撤退により、結局は既成政治家2人の一騎打ちとなった。政治改革を求める無党派層らの期待は5年後に持ち越された形だが、初の女性大統領となる朴槿恵氏が、この宿題に取り組むのかどうか。


もう一つは日韓関係である。敗れた文在寅氏は厳しい対日姿勢で知られたが、朴槿恵氏も例外ではない、という。韓国内の反対を押し切って65年に日韓基本条約を結び国交を正常化したのは大統領だった父の朴正熙氏だ。


韓国で、同条約に「欠陥あり」として見直し論が出ている今、父のイメージを払拭し、自らも「親日」ではないことを常にアピールする必要に迫られる、というのである。「親日」と揶揄され続けた李明博氏のように、日本に強硬姿勢をとらざるを得なくなる可能性も指摘した。


国交正常化50周年となる2015年は日韓関係にとって大きな節目となる。両国の同時期の政権交代による「リセット効果」にかすかな期待を示したが、楽観する言葉はついぞ聞けなかった。


ゲスト / Guest

  • 奥薗秀樹 / Hideki Okuzono

    日本 / Japan

    静岡県立大学准教授 / Asso. Prof, University of Shizuoka

研究テーマ:権力移行期の世界

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