会見リポート
2012年12月13日
11:00 〜 12:00
宴会場(9階)
WFP事務局次長代行 記者会見
会見メモ
WFP国連世界食糧計画のペロド・メドラノ事務局次長代行が、世界の食糧問題や日本からの支援状況などについて話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 宮田一雄(産経新聞)
通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)
WFP国連世界食糧計画のホームページ
会見リポート
シリア難民50万人超 大きな人道危機に
金子 淳 (毎日新聞外信部)
2015年までに飢餓に苦しむ人口を1990年の半分に──。2000年の国連ミレニアムサミットでは、そんな野心的な数値目標が採択された。世界的には達成に向け大きく前進したとされるが、アフリカなどの一部地域では達成が危ぶまれる国も多い。それだけに、会見では冒頭から「世界では8億7000万人が飢えに苦しんでいる」と指摘し、「未来ある子どもたちの飢餓を解決しなくてはならない」と訴えた。
WFPは世界最大規模の人道支援機関とされ、内戦状態にあるシリアでも食糧の緊急配布などの活動を続けている。シリアはすでに50万人を超える難民が周辺国に流出したほか、大量の国内避難民も発生しており、メドラノ氏は「大きな人道的危機と呼びたい状況」と表現。「既に国内の150万人に食糧支援を実施したが、3、4カ月で支援対象者が倍増した。さらにこの数は増えるだろう」と支援の必要性を訴えた。
一方、多くの飢餓人口を抱えるアフリカについては、「十分な食糧生産があるにもかかわらず、必要な人に食糧が届いていない」とアクセスの問題を強調。穀物を使ったバイオ燃料の需要拡大が食糧価格の高騰につながっているとの指摘については、「投資のバランスを確立することも必要」と認めつつ、「(バイオ燃料が普及していなかった)20年前と状況は変わっていない」と話し、政治的なイニシアチブを求めた。
日本はWFPの主要支援国の1つで、昨年は既に1億9000万ドルの支援金が拠出された。6月に横浜で開催する第5回アフリカ開発会議(TICAD5)も、食糧の安全保障が議題に上るとみられる。「食糧問題は貧困や安全保障と互いに関連しており、究極的には世界の平和安定の問題でもある」だけに、日本政府のリーダーシップが試される局面となりそうだ。
ゲスト / Guest
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ペドロ・メドラノ / Pedro Medrano
WFP国連世界食糧計画 / World Food Programme
事務局次長代行 / Acting Assistant Executive Director, Partnership and Governance Services