2012年11月27日 15:00 〜 16:30 宴会場(9階)
研究会「権力移行期の世界 ⑪ 中国」 興梠一郎 神田外語大学教授

会見メモ

神田外語大学の興梠一郎教授が、共産党大会後の中国のテーマで、習近平体制や反日デモの背景、中国とのつきあい方などについて話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 高畑昭男(産経新聞)


会見リポート

貧富の二極化への対応が注目点

鈴木 隆弘 (読売新聞国際部)

中国で起きた尖閣諸島を巡る激しい反日デモは、多くの日本人を戸惑わせ、中国の不可解さを印象づけた。興梠氏の講演は、過激化したデモの背景を冷静に探り、今後の日中関係や習近平政権を展望する内容となった。

中国のインターネット人口は5億人を超え、中国版ツイッター「微博」の利用者は2・74億人に及ぶ。政府がいくらネットの統制を強めても、不都合な情報は瞬時に広まる。興梠氏が社会分析に用いるのも、こうした漏れ出る生の情報だ。

反日デモでは、西安で日本車に乗っていた男性が殴られて頭蓋骨を骨折し、微博で話題になった。逮捕されたのは、農村出身の若者だった。デモの写真も数多く投稿され、中には「国家の領土を取り戻すなら、腐敗した役人に行かせろ」という横断幕を掲げるものもあった。

「反日より、富を憎む『仇富』、役人を憎む『仇官』という考えが広まっている」。興梠氏はデモの背景を分析した上で、発足したばかりの習近平政権が、貧富の二極化にどう対応するかが今後の注目点になるとした。

中国との関係について興梠氏は、「政治体制が民主化しないと相互理解は難しい」と悲観する一方で、「中国は近代化の途上にある。成熟した日本は同じレベルで争わず、東アジア全体からといった高い見地に立ったほうがいい」と語る。

今年9~10月の内閣府調査で、「中国に親しみを感じない」と答えた人の割合が過去最高の80・6%に達した。反日デモの影響が現れた形だが、中国の現状を理解しなければ、不信感だけが募るだけだ。指摘のように少し余裕も必要だと考えさせられた。



11・27(火)研究会「権力移行期の世界⑪ 中国」 司会 高

ゲスト / Guest

  • 興梠一郎 / Ichiro Korogi

    日本 / Japan

    神田外語大学教授 / Professor, Kanda University

研究テーマ:権力移行期の世界

研究会回数:0

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