2012年11月21日 12:00 〜 14:00 10階ホール
ワドワ 新駐日インド大使 昼食会

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会見リポート

地方の中小企業もぜひ印進出を

永田 和男 (読売新聞国際部次長)

過去に3度の中国駐在経験を持つワドワ大使。印中両国は1962年に国境紛争を戦ったが、中国は今、インドの最大の貿易相手国だ。大使は、インドが中国に対して、国境線画定問題では粘り強く対話を続ける一方、関係全般の拡大をはかる「成熟したアプローチ」を続けて来た、と述べ、「アジアには印中両国が共存共栄していくのに十分な広さがある」というシン首相の発言も紹介した。今後も、中国とどう共存していけばよいのか。大使もつぶさに見て来たと思われるインドのアプローチ形成の課程を、さらに詳しく聞きたいと思った。

来日して3カ月。日本語の質問にも、通訳を待たずに、うなずいたりメモを取ったりしていた。終始落ち着いた語り口だったが、「ボリウッド映画」に関する質問が出た時などに見せたスマイルも印象に残った。

インド進出を考える日本企業は多いが、7月の大規模停電に見られたようなインフラ(産業基盤)の未整備や、腐敗の蔓延といった負のイメージも根強い。大使は「まず私に相談してください。そうすれば不明朗なカネを要求されるようなトラブルはない」と胸を張り、地方の中小企業にも対印進出を呼びかけたい考えを示した。インフラの問題については、「だからこそ日本企業に投資してもらいたいのです」と、インド市場の伸びしろの大きさを強調した。

11月に予定されていたシン首相訪日は、衆院解散のあおりで延期を余儀なくされた。日本の総選挙は新党乱立の様相となったが、インド政治も地域政党が多く台頭し、連立政権が常態化している。大使は「だからと言って政治が不安定だということはない。日本でも必ずや、多数の意思を反映する政府が形成されるはず」と話していた。中国との向き合い方といい、インドの経験から日本が学べることは多いと思った。



ゲスト / Guest

  • ディーパ・ゴパラン・ワドワ / Deepa Gopalan Wadhwa

    インド / India

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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