会見リポート
2012年11月14日
14:00 〜 15:30
10階ホール
著者と語る『歴史物語ミャンマー』(カナリア書房) 山口洋一 元ミャンマー大使
会見メモ
元ミャンマー大使で、『歴史物語ミャンマー』(カナリア書房)を執筆した山口洋一・元ミャンマー大使が、「独立自尊・自由平等」の国としての歴史や、イギリス植民地時代、民主化が進む現在の情勢、ミャンマー人の親日感などについて話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 山岡邦彦(読売新聞)
会見リポート
135の民族 国家一体化への道
山岡 邦彦 (企画委員 読売新聞論説副委員長)
ゲストブックにそう書き込んだ山口洋一氏。いま最も旬な国についての熱気あふれる1時間半の「著者と語る」になった。
昨年春の民政移管後、テイン・セイン大統領のもとでミャンマーの民主化改革はめざましく進んでいる。最大野党を率いるアウン・サン・スー・チーさんも国会議員となり、米大統領として初めてオバマ大統領がミャンマーを訪れるという歴史的な転換期のまっただ中にある。
「目に見える変化が大きく進展している」「当のミャンマー人が一番うれしく受け止め、これで本来のあるべき社会体制に戻れた、との思いでしょう」
1990年代半ば、欧米諸国の経済制裁の締め付けが厳しかった時に日本の駐ミャンマー大使を務め、現地の事情と歴史的背景を知るにつけ、この「独立自尊の意気盛んな自由で平等の国」に日本はどう向き合っていくのがよいのか、独自外交のあり方を探ってきた。
それだけに、日本が欧米に一歩先んじて支援の姿勢を打ち出したことを高く評価する。延滞債務の最大の貸し手である日本は大半の債権放棄を宣言し、野田首相はプノンペンで、テイン・セイン大統領に、来年から円借款を再開すると伝えた。
中国との関係については、武器取引を禁止されたので中国から買わざるを得なくなっての接近だったと指摘し、「対中警戒心は怠っていない」と言い切った。
この国の統治の難しさは、135もの民族を一つに束ねるところにある。民主主義はまだ途上にあるが、経済の発展、教育の向上という課題に取り組むことで国家の一体化が進んでいくと予見した。
上下2巻『歴史物語 ミャンマー』の著者が注ぐまなざしは温かい。
ゲスト / Guest
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山口洋一 / Youichi Yamaguchi
日本 / Japan
元ミャンマー大使 / Former Ambassador to Myanmar
研究テーマ:著者と語る『歴史物語ミャンマー』(カナリア書房)