2012年11月08日 15:00 〜 16:15 宴会場(9階)
ハンセン病市民学会 記者会見

会見メモ

ハンセン病に対する偏見や差別の解消のため2005年に設立された、ハンセン病市民学会(事務局・熊本市)の神(こう)美知宏・共同代表(全国ハンセン病療養所入所者協議会会長)と、遠藤隆久・事務局長が、施設の老朽化や看護・介護職員の不足問題などについて会見し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 宮田一雄(産経新聞)

ハンセン病市民学会のホームページ

http://shimingakkai.com/


会見リポート

平均年齢82.1歳 続く差別と偏見

高田 和男 (日本テレビ解説委員)

うかららの ひとりも訪ね来ることなし 死ぬるを待たれ ゐてながきかな(ハンセン病歌人の津田治子歌集より)。


2005年5月に交流・提言・検証を3本柱に設立されたハンセン病市民学会は700人の会員を擁している。


自らがハンセン病患者である全国ハンセン病療養所入所者協議会会長で学会の共同代表、神美知宏さん(写真=右)と熊本学園大学教授で事務局長を務める遠藤隆久さんは08年に国会で「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が成立したにも関わらず、相変わらず差別や偏見が続いていることを強調した。この7月時点で全国の患者は2096人、平均年齢は82・1歳と高齢化をたどっており年間150人前後が亡くなっている。


全国に国立療養所は13あるが、どの施設も公務員の定数削減のあおりを受け医師、看護師、介護職員の不足で入所者は深刻な生存権に関わる危機に直面している。多くの入所者が両手指の欠損や機能マヒにより箸もスプーンも持てず、自力での食事ができない現実があるのに補助職員が足りないので誤嚥性肺炎で命を落とす人が半数以上に上るという。


「こうした問題の先送りは療養所の高齢者の人間としての尊厳を踏みにじるものである。我々は忘却の彼方に追いやられようとの危機感を持っているが、残念なことに一般市民はほとんど実態を知らない。こうした現実を背景に私たちは市民学会を立ち上げた。今年は5月に青森と宮城で交流集会を開催したが、うれしいことに会員総数を超える1000人以上の来場者と100人ほどのボランティアに支えられ、理解者も微増した。しかし、職員の待遇改善と定員増が成し遂げられるまで真の人間回復を目指して汗を流し続ける」と神さんは力強く会見を締めくくった。



ゲスト / Guest

  • ハンセン病市民学会 神(こう)美知宏・共同代表(全国ハンセン病療養所入所者協議会会長) 遠藤隆久・事務局長 / Hansen`s Disease Association for the People

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