会見リポート
2012年10月15日
14:00 〜 15:00
10階ホール
枝野幸男 経済産業相 記者会見
会見メモ
枝野幸男・経済産業相が「『脱近代化』と『負の再分配』」のテーマで話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)
経済産業省のホームページ
会見リポート
脱近代化と負の再配分
矢田 義一 (朝日新聞WEBRONZA編集長)
政治家には世界史的な時代認識が必要だ。党利党略や目先の政局に右往左往する姿ばかりを見せつけられていると、「脱近代化」という言葉でも新鮮に響く。現役大臣が何を語るのか。会場に足を運んでみた。
日本はもうかつてのような成長はできない。この認識をみんなで共有しよう──これが枝野幸男経産相のスピーチの核心だった。自動車や家電など、戦後日本は完成品をつくる製造業が引っ張ってきた。しかし、「規格大量生産の分野では、コストの安い国にかなうはずがない」からだ。
「社会保障や税、財政のあり方を改善する方向での努力がむしろ先行しなければ、この20年ほどの経済の閉塞状況を脱却できないのではないか」。この問題意識も強調した。
一方、日本にまだ残っている資源を、これまでの主役だった製造業から、介護や医療、子育てなどの分野に振り向ける。女性の労働力を利用する。さらに、海外に通用するにジャパンブランドを定着、維持していく。そんな方向性を示した。
これらの議論は概ね間違ってはいないのだろう。しかし、「欲しいものがないから日本がデフレなのは当たり前。モノの値段は需要と供給の関係で決まるというのは、中学校の社会科の教科書に載っている」という断定は、少し乱暴では。
需要と供給の関係で決まるのは個別の財やサービスの価格で、消費者物価などはまた別だ。「脱近代化」というなら、今日のグローバル経済を特徴づけている資本主義や市場のあり方、世界的なマネーの氾濫、その背後にある主要国の超緩和的な金融政策の今後への洞察も欠かせないはずだ。
ゲスト / Guest
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枝野幸男 / Yukio Edano
日本 / Japan
経済産業相 / Minister of Economy, Trade and Industry