2012年10月11日 15:00 〜 16:00 10階ホール
フィッシャー イスラエル中央銀行総裁

会見メモ

国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会に出席のために来日したフィッシャー・イスラエル中央銀行総裁が、イスラエル経済や世界経済情勢などについて話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 実哲也(日経新聞)

通訳 秋山賛(サイマル・インターナショナル)

イスラエル大使館のホームページ

http://embassies.gov.il/tokyo/Pages/default.aspx


会見リポート

堅調な国内経済に自信

上地 洋実 (読売新聞国際部)

東京で48年ぶりに行われた国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会のために来日したイスラエル中央銀行総裁のフィッシャー氏は、IMF筆頭副専務理事、シティグループインターナショナル社長を歴任した華々しいキャリアにふさわしく、会見ではイスラエル経済から世銀改革まで幅広い話題に言及した。


アラブの春やイランの核開発問題など、政治的に話題に上ることが多いイスラエルについて経済面から光を当てた。イスラエルは2008年の世界同時不況を切り抜け、好調な経済成長を遂げている。フィッシャー氏は、「均衡予算を達成しており、銀行システムも強固で、国際収支も黒字だった」と、不況前から経済が良好だったことに加え、「金利政策でも迅速に対応し、為替に積極介入した。財務省も中小企業の資金繰り支援を行った」ことを要因にあげた。


イスラエルは今年、付加価値税や所得税の増税などの税制改革を行った。財政赤字を対GDP比2%に抑えるという目標を掲げているが、今年はそれを上回る可能性があったためだ。フィッシャー氏は、「来年の選挙が難しくなるにもかかわらず、政府は問題を認識したら即座に対応した」と評価する。国民の人気取りに走らず、財政規律を守るため厳しい判断もいとわない姿勢は日本も見習う点が多いのではなかろうか。


フィッシャー氏は、学者ならではの要領を得た分かりやすい説明で、ヨーロッパの影響力を弱めるための出資比率の見直しなど、世銀改革の必要性も訴えた。


一方で、食い足りなさが残ったのも事実だ。質問が集中したイラン制裁については、「リアル安などイラン経済に影響を与えているのは確かで、今後の行方を注視したい」などと、控えめな回答に終始した。中東を取り巻く問題の大きさからすればさらに踏み込んだ発言も聞きたかった。

ゲスト / Guest

  • スタンレー・フィッシャー / Stanley Fischer

    イスラエル / Israel

    イスラエル中央銀行総裁 / Governor , Bank of Israel

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