2012年10月01日 14:00 〜 15:30 10階ホール
カタール財団 記者会見

会見メモ

カタール政府が設立したカタール財団のアルワ・スレイマン学生支援局長が、同財団の取り組みについて話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 杉尾秀哉(TBSテレビ)

通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)

カタール財団のホームページ

http://www.qf.org.qa/


会見リポート

急成長する国の課題

脇 祐三 (企画委員 日本経済新聞コラムニスト)

カタールの成長はめざましい。世界最大の液化天然ガス(LNG)生産国になり、昨年の実質経済成長率は14%超、1人当たり国内総生産(GDP)は10万ドルに迫る。2022年のサッカー・ワールドカップ開催も決まった。この10年あまりの間に人口はおよそ3倍に増え、外国人が全人口の8割以上を占める。


天然資源に永久に依存し続けることはできない。国づくりのビジョンで最も重要なのは、自国の人的資源の開発だ──アルワさんの冒頭の説明が、この国の課題を端的に示す。


ハマド首長が発起人となって創設しモーザ首長妃が主導するカタール財団は、教育改革や人的資源開発の推進役で、「知識を主体とする経済への移行」を目標に掲げている。


米欧の有名大学から自国に必要な学科を誘致して高等教育の拠点にした「教育都市」や、先進国企業の研究施設を集めた「科学技術パーク」の運営、年1回の世界教育イノベーション・サミット(WISE)開催など、財団の活動は多岐にわたる。


外国の科学技術研究への支援も続け、日本でも3つの案件が財団による助成の対象になっているという。


ワールドカップでは、「夏場の最高気温が50度に達する中で、ソーラー・エネルギーを利用して開放型のスタジアムを23~24度に保つ」計画も関心を集めるだろう。


石油や天然ガスの国内消費急増にブレーキをかけ、資源の輸出余力を保つため、再生可能エネルギー導入に力を入れるのは、最近の中東産油国に共通する動きでもある。


日本・カタール国交樹立40周年にあわせ、一連のイベントが9月から東京で開かれている。記者会見でニュースの発表はなく、財団の活動のプレゼンテーションに終始した格好だが、自分たちについてもっと知って欲しいという若いアラブ女性の熱意は、十分に伝わってきた。



ゲスト / Guest

  • アルワ・スレイマン / Arwa Suleiman

    カタール財団学生支援局長 / Head of Student Services, Qatar Foundation

ページのTOPへ