会見リポート
2012年10月11日
13:00 〜 14:00
10階ホール
ショイブレ ドイツ財務相 記者会見
会見メモ
Wolfgang Schäuble, Minister of Finance, Germany
国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会に出席のために来日したショイブレ・ドイツ財務相が欧州経済危機への対応などについて話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員長 小孫茂(日経新聞)
通訳 桑折千恵子、蔵原順子、田口絵美
ドイツ大使館のホームページ
http://www.japan.diplo.de/Vertretung/japan/ja/Startseite.html
会見リポート
欧州危機 問われる民主主義の真価
梶原 誠 (日本経済新聞編集委員)
日本で開いた国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会の過密スケジュールを縫っての会見だった。ショイブレ財務相はメルケル政権を支えるドイツ政界の重鎮だ。
欧州債務問題は世界経済の行方を左右する。話の焦点は、次の問いにどう答えるかだった。「ドイツはなぜ、南欧の支援に慎重なのか」
欧州危機も3年。この間ギリシャなどの問題国に大国ドイツがなかなか思い切った支援をせず、危機が深刻化したという指摘もある。著名投資家のジョージ・ソロス氏は、「ドイツの『(支援が)できないモード』は危うい」と批判する。
ショイブレ氏の答えは2つあった。1つは「ドイツが財布のひもを緩めても、問題国が構造改革をしなければ解決にはならない」。南欧諸国は高い賃金などで産業競争力を落とした。この構造問題を改めないと税収は増えず、財政は健全化しない。
もっとも、2つ目の回答が同氏の本音のような気がした。いわく「民主的なプロセスで支援を進めようとすれば時間がかかる」。ドイツは来年、総選挙を控えている。国民の間でも南欧支援には不満が根強い。「支援はドイツのためでもある」と国民を説得する必要がある。
民主主義は欧州危機のキーワードだ。財政の健全化は国民に痛みを強いる。その国の為政者はもちろん、健全化を条件に支援した国も反発を買う。だが、民主主義を選んだ以上、異なる意見を持つ人々が話し合い、決めていかなければならない。
ゲスト / Guest
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ショイブレ / Wolfgang Schäuble
ドイツ / Germany
財務相 / Minister of Finance