会見リポート
2012年10月04日
14:00 〜 15:30
宴会場(9階)
シリーズ企画「3.11大震災」 遠藤哲也・一橋大客員教授
会見メモ
「日米原子力協定のゆくえと原発ゼロ政策」のテーマで、日米原子力協定締約交渉で日本代表だった遠藤哲也・一橋大学客員教授(元原子力委員会委員長代理、元ウィーン代表部大使)が話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 脇祐三(日経新聞)
日本国際問題研究所のホームページ(遠藤氏のコラムが掲載されています)
会見リポート
原発ゼロ 日米原子力協定の行方は?
大塚 隆一 (読売新聞編集委員)
「2030年代に原発ゼロ」をめざす政府のエネルギー戦略。その決定に至る過程は問題が多かった。
問題の1つは国際的な波紋、特に日米関係への影響について、国民への説明がほぼ皆無だった点だろう。遠藤氏の話は「国民的議論」で欠けていた空白の部分を補ってくれた。
遠藤氏は1988年に結ばれた日米原子力協定の日本側交渉責任者を務めた。この協定は、米国が日本に対し、使用済み燃料の再処理を柱とする核燃料サイクルを事実上自由に行うことを認める内容だ。
しかし、米国は日本の「原発ゼロ政策」に「不信感」を強めており、6年後に有効期限が切れる協定の行方は不透明になってきたという。
遠藤氏によると、米国の「不信感」には3つの理由がある。
「1番大きい」のは、再処理で生じるプルトニウムの扱いが不明な点。米国は「どこに使うつもりか」と懸念を強めていると指摘した。
2つ目の理由は、世界の原発が今後も増えていく見込みなのに、原発ビジネスや核不拡散で「頼りにしてきた(日本という)パートナーが消えていく」ことへの不安という。
3つ目の理由にあげたのは、核融合など「高度の原子力技術」の研究開発でもパートナーとして協力してきた日本が脱落していくことへの懸念だった。
遠藤氏は、これらの点について日本政府が「合理的な説明」をできなければ、米国は原子力協定の更新を拒む恐れがあると警告した。
遠藤氏は日米協定を現在の形で延長すべきだと主張する。この立場には異論もあるだろう。ただ、少なくとも言えることが1つある。
ゲスト / Guest
-
遠藤哲也 / Tetsuya Endo
日本 / Japan
一橋大客員教授(元原子力委員会委員長代理、元ウィーン代表部大使) / Guest Professor, Hitotsubashi University
研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」