会見リポート
2012年09月05日
10:30 〜 11:30
10階ホール
カタイネン フィンランド首相 記者会見
会見メモ
フィンランドのカタイネン首相が、欧州危機やエネルギー政策などについて話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 実哲也(日経新聞)
通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)
フィンランド大使館
会見リポート
40歳のリーダー 歯切れよく課題を語る
滝田 洋一 (日本経済新聞編集委員)
単に若いばかりでない。どんな質問にも、堂々と自分の言葉で答えてみせる。会見で焦点となった欧州債務危機やエネルギー政策をめぐる見解は、次のような具合だ。
ユーロ問題では、債務国への金融支援は重要であるにせよ、当事者の財政立て直しの努力が肝心だ。支援の金額をいたずらに膨らませるのではなく、債務国が自らの資産を担保に国債を発行してはどうか、という。
エネルギー問題では、再生可能エネルギーに注力しているが、それでも賄えない分が生じる。温暖化ガスの排出抑制やエネルギーの自立を図るためには、原子力発電を推進せざるを得ない。使用済み核燃料の最終処理は自国内で行う、と力説する。
利害得失を踏まえて、問題の全体像を分かりやすく示す。良い意味の現実主義であり、いま政治家に求められるひとつの姿を見た思いがする。
1999年に20歳代で国会議員となり、外交・安全保障から金融まで多方面で実績を積み、首相就任前の07年から11年には副首相兼財務相。08年には英紙「フィナンシャル・タイムズ」によって、欧州のベスト財務相に選ばれている。
歯切れよい語り口と堂々たる立ち居振る舞いは、それだけの経験を重ねたればこそ。フィンランドは人口540万人の小所帯なので、国家としての課題が明確で、優れた資質を持った政治家をはぐくみやすい。そうした面はあるだろう。
もうひとつ、見逃せないのは政治家に対する尊敬の念だ。「会見場への首相入場時には起立と拍手を」と求められたが、かの国ではそれは自然な振る舞いなのである。
ならば日本での政治家の扱いは、などとヤボなことは言うまい。
ゲスト / Guest
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ユルキ・カタイネン / Jyrki Katainen
フィンランド / Finland
首相 / Prime Minister