2012年08月08日 15:30 〜 17:00 10階ホール
菅直人 元首相 記者会見

会見メモ

菅直人・前首相が、民主党政権のこれまでを総括し、日本のエネルギー政策や政治状況などについて述べた後、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)


会見リポート

原発事故と消費税増税を語る

豊田 洋一 (東京新聞論説委員)

当クラブにとって、すっかりなじみのゲストと言えるかもしれない。今回で13回目。現職首相として民主党代表に再選された2010年9月の候補者討論会以来だ。


この間に起きた福島第一原子力発電所事故について「よく止まってくれたなという思いだ。最初の1週間を思い出すと背筋が寒くなる」「首都圏3千万人が避難を強いられる可能性があり国家存続の危機だった」などと生々しく語った。


一方、激しい口調から「イラ菅」と指摘された東電本店への乗り込みは「頑張ってほしいとお願いし、鼓舞するためだった」と釈明した。


確かに菅氏以外が首相だった場合や民主党以外の内閣だった場合に、より的確な対応ができたのか、予想することは無意味かもしれない。


ただ、放射能の影響予測を提供せず、放射線被害を過小に印象づけようとする発表を繰り返したことは、取り返しのつかない失敗として記録しておきたい。


会見でのもう一つの焦点は消費税増税だ。菅氏が10年参院選で党公約として打ち出したものの惨敗を喫し、野田佳彦首相に引き継いだ。会見が増税法成立前々日だったのは運命の巡り合わせだろうか。


09年衆院選マニフェストにない消費税増税は「マニフェスト違反」だが、菅氏は「全く当たらない」と強弁した。政権交代後にギリシャ危機が起こったからだという。


しかし、自民党はそれ以前から消費税増税の必要性を訴えていた。ギリシャ危機を挙げたのは、自らの財源見通しの甘さを糊塗するためではないかと勘ぐってしまう。


菅氏が多難な時期に首相を務めたことの是非は、やはり歴史の検証と審判に委ねるしかないのだろう。



ゲスト / Guest

  • 菅直人 / Naoto Kan

    日本 / Japan

    前首相 / Former Prime Minister

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