2012年07月17日 14:00 〜 15:00 10階ホール
石井菜穂子 副財務官(地球環境ファシリティー最高経営責任者)

会見メモ

世界銀行グループの基金で、途上国の環境プロジェクト支援のために無償資金を提供している「地球環境ファシリティー」の最高経営責任者に8月就任する、石井菜穂子・副財務官が同基金について話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 実哲也(日経新聞)

地球環境ファシリティー(Global Environmental Facility)のページ

http://www.thegef.org/gef/


会見リポート

環境、開発、財務を一体化する

若杉 敏也 (日本経済新聞社産業地域研究所)

リオ・デ・ジャネイロで初めて開催された地球環境サミットの前年、1991年に「地球環境ファシリティ(GEF)」が設立された。地球環境保全への取り組みを支援するために多国間で運営するこの基金の最高経営責任者(CEO)に8月、日本人が就任した。財務省副財務官から転身した石井菜穂子氏が、その人だ。


GEFには182カ国が加盟し、気候変動や生物多様性保全など6つの分野のプロジェクトに資金を供給している。拠出金を活用して、これまでに165カ国、2700のプロジェクトに対して総額105億㌦を無償供与した。他の国際機関や民間などとの協調融資も取り入れながら、主に途上国の地球環境保全を資金面で支えてきた。


CEO就任直前の会見で石井氏は「これまでは地球環境の劣化と引き換えに経済成長が達成されてきた面がある」と指摘。それを踏まえて、IMFエコノミスト、財務省開発機関課長など財務や金融畑でキャリアを積んだ自身には「環境と開発、さらに財務を一体化させる仕事が求められている」と抱負を語った。


先進国と途上国の対立構造で語られることの多い地球環境問題だが、石井氏は「今や、地球全体で私たちの問題だとの認識が高まっている」と強調した。「(先進国で)ビッグビジネスやコミュニティー、都市に関わる人たちまで、このままでは自分たちの生活が立ちゆかないと気づいている人たちがいろんなレベルにいる」ことを実感しているという。


GEFの資金管理は世界銀行が担当している。わが国は、米国に次ぐGEFの第2位の拠出国であり、求められている貢献は資金力だけではない。「GEFを日本でも世界でも、もっとPRしていかなければならない」と語る石井氏。エジプト、カナダ、フランスと続いたCEOを継ぐ4代目として、GEFの存在感を高める役割が期待されているようだ。



ゲスト / Guest

  • 石井菜穂子 / Naoko Ishii

    日本 / Japan

    財務省副財務官(地球環境ファシリティー最高経営責任者) / (CEO,Global Environmental Facility)

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