2012年07月08日 14:00 〜 14:45 10階ホール
潘基文 国連事務総長 記者会見

会見メモ

アフガニスタンの開発計画を議論する国際会議「アフガニスタン東京会合」に出席するため来日した潘基文・国連事務総長が会見し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ理事長 吉田慎一(朝日新聞)
通訳 池田薫、入江彩(サイマル・インターナショナル)

国際連合広報センターのホームページ

http://unic.or.jp/index.php

YouTube会見動画

会見詳録


会見リポート

シリア情勢に質疑集中

杉田 弘毅 (企画委員 共同通信編集委員兼論説委員)

アフガニスタン支援国際会議への出席が来日の目的だったが、質疑は流血が続くシリア情勢に集中した。


政府軍と反政府軍の双方から標的になっていた国連シリア監視団は6月中旬に監視活動を停止。一方国連安全保障理事会はアサド政権への対応をめぐる米ロの対立で身動きがとれず、戦闘終結に向け打つ手がない。今年1月に再任を果たした潘事務総長の手腕が試されている。


発言は明解だ。シリアのアサド大統領に対しては「政権移行のプロセスを進めなければならない。根本的な変化が必要だ」と述べて退陣を促し、さらに安保理には「真剣に考えて欲しい。国際社会の無力さに懸念を感じる」と語った。当然ながらその立場は米国寄りだ。


そうは言っても、国連事務総長の力だけではどうしようもない。


今後は監視団を縮小し、政治解決を目的に各当事者、各国政府との交渉を活動の中心にするという。だが、交渉は国連のシリア問題特使であるアナン前事務総長が粘り強く続けているが、実を結んでいない。結局は米ロ中など安保理の大国に足並みを揃えるよう静かに促すしかない。


米軍が撤退するアフガニスタンの将来も国連の課題だ。東京の会議で各国が資金援助を表明したが、カルザイ政権の汚職などで資金の公正な使用に疑義が持たれている。事務総長は「説明責任を重視する」と言う。


来日直前に日本政府は安保理改革案として「準常任制」創設を提案した。「日本の願いは理解している。多くの案があり、加盟国と協議して」と述べるにとどまった。前任者のガリ、アナン両氏は積極的に「日本を常任理事国にしたい」と語っていた。それに比べて潘氏のコメントは一歩後退と言え、世界における日本の国力の相対的な低下を映し出した。



ゲスト / Guest

  • 潘基文 / Ban Ki-moon

    国際連合 / UN

    事務総長 / Secretary General

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