2012年07月09日 13:30 〜 14:30 10階ホール
ミミツァ クロアチア副首相 記者会見

会見メモ

7月8日に開かれたアフガンニスタンの開発計画を議論する国際会議に参加するため来日したクロアチアのミミツァ副首相がEU加盟への見通しなどについて話し、記者の質問を答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 山岡邦彦(読売新聞)

通訳  宇尾真理子(サイマルインターナショナル)

クロアチア大使館のホームページ

http://np.mfa.hr/?mv=3278&mh=534


会見リポート

EU加盟後即時にユーロ導入せず

溝田 拓士 (読売新聞国際部)

「我が国と日本との間に未解決の問題は一つもない」──。クロアチアのネベン・ミミツァ副首相(58)は、会見の冒頭、こう切り出した。確かに、「アドリア海の真珠」と称される美しい観光都市ドブロブニクまでの長い旅路を考えると、外交問題はあり得ないようにも思える。副首相は出席者の心理を見透かしたように、こう続けた。「それは地理的な理由からではない。両国の政治的な価値観が同じだからだ」


旧ユーゴスラビア解体の引き金となった独立宣言から20年余。念願だった欧州連合(EU)加盟を来年7月に控え、副首相は「民主的な価値観、経済の基準が評価された証しだ」と胸を張った。


だが、憧れだったEU圏は経済危機から脱却できずにいる。クロアチアの通商相手の65%はEU加盟国。中でも主要貿易相手イタリアの市場縮小の影響は大きく、貿易総額はここ数年で20%近く減少したという。副首相は「ユーロの安全を十分時間をかけて見極めたい」と述べ、加盟後、即時には導入しない方針を明らかにした。


その一方で、5億人を抱えるEU市場への参入に意欲を示す。欧州の中心に位置する地理的条件を、「我が国からは中欧、東欧に簡単にアクセスできる」とアピールし、外国からの投資を積極的に受け入れる考えも強調した。特に、「我が国のEU加盟は日本にとっても朗報だ」と繰り返し、日本企業の参入にも期待を寄せた。


クロアチアが国連に加盟してから今年で20周年。北大西洋条約機構(NATO)の一員としてアフガニスタンにも派兵する。


副首相は、旧ユーゴ諸国の全てがEUに加盟して初めて地域の融和が図れると強調。その上で、最後に内戦の教訓をこう語った。


「イデオロギーは国民を分断し、アイデアは国民を団結させる」



ゲスト / Guest

  • ネベン・ミミツァ / Neven MIMICA

    クロアチア / Croatia

    副首相 / Deputy Prime Minister

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