2012年07月04日 14:00 〜 15:30 10階ホール
ピーリス スリランカ外相 記者会見

会見メモ

仙台市で開幕した世界防災閣僚会議出席のため来日したスリランカのピーリス外相が、内戦終結後の国内状況などについて話し、記者の質問に答えた。会見にはカランナーゴダ駐日スリランカ大使も同席した。

司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)

通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)

スリランカ大使館のホームページ

http://www.lankaembassy.jp/


会見リポート

戦後3年間の“成果”を強調

金子 淳 (毎日新聞外信部)

25年以上にわたって内戦が続いたスリランカは、戦後復興が目下の課題だ。「紛争は過去のものとなった」。記者会見で外相は戦後3年間の「成果」を強調することから始めた。


内戦が終結したのは09年5月。当時約30万人に上った国内避難民は7月末までに再定住を完了し、元戦闘員も9割が社会復帰を果たした。また、昨年はタミル民族の武装組織「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)の支配地域だった北部地域の経済成長率が国内平均(8・3%)の3倍近い22%に上り、「政府が意図的に投資をしてきた結果だ」と戦後政策の成果を語った。


気になったのは、和解プロセスは「外国からの押しつけではうまくいかない」ことを何度も繰り返した点だ。もちろん、自国主導の和解が大前提だという主張はうなずける。一方で、国際社会に内戦時の人権侵害について客観的な調査を求める声があるのも事実だ。「外からの圧力は助けにならない」と話す外相からは、

そうした外国の介入に対する強い警戒心がうかがえた。


質疑では安全保障も話題に上った。スリランカは、中国がインドを取り囲むように港湾整備を支援する「真珠の首飾り」戦略の一画を占める。外相は「中国の戦略に組み込まれるという話ではない」と指摘し、「様々な国と友好関係があることを分かってほしい」と訴えた。


会見を締めくくったのは、皮肉にも報道の自由を巡る問題だった。政府は6月、批判的立場を取るニュースサイトの記者らを拘束したが、外相は「法令違反があれば対抗措置を取らざるをえない」と反発。「『報道の自由がない』というのは事実ではない」と嫌悪感をあらわにした。


内戦終結から3年。外相が言う「普通の国」になったのか、世界が注目している。



ゲスト / Guest

  • ガーミニ・ラクシュマン・ピーリス / Gamini Lakshman PEIRIS

    スリランカ / Sri Lanka

    外相 / Foreign Minister

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