2012年06月28日 14:45 〜 15:45 10階ホール
ライチャーク スロバキア副首相・外相 記者会見

会見メモ

スロバキアのガシュパロヴィチ大統領に同行し来日したミロスラフ・ライチャーク副首相・外相が、EUとスロバキアの関係などについて話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 高畑昭男(産経新聞)

スロバキア外務省のページ

http://www.mzv.sk/en/home


会見リポート

ユーロ共通債 “機は熟していない”

永田 潤 (共同通信外信部)

チェコとの連邦国家から母国が分離独立を果たした翌年の1994年から駐日大使を務めた際「主な任務はスロバキアがどこにあるかを説明することだった」とスピーチを切り出し、笑いを誘った。しかし副首相兼外相となった今、国の現状を語る言葉には強い自負が感じられた。


スロバキアは2004年に欧州連合(EU)に加盟し、09年にはユーロ圏の一員にもなった。ライチャーク氏によれば、債務危機に見舞われた単一通貨圏の中で、今年と来年の経済成長率はスロバキアが最大になると、国際通貨基金(IMF)などは予測しているという。


昨年、債務危機拡大を防ぐための欧州金融安定化基金(EFSF)強化策を議会がいったん否決。1人当たり国民所得はユーロ圏で下から2番目の国であり、放漫財政が危機を招いたギリシャなどを救済することには国民の不満も根強いのだろう。


EUの「外務省」に当たる対外活動庁で局長を務めた経験も持つライチャーク氏は「加盟国が平和裏に共存するには、われわれがEUで作り上げた機構以上に優れたものはない」と語る一方、加盟国間で賛否が分かれるユーロ共通債の導入については「まだ機は熟していない」との考えを示した。スロバキアはつらい経済改革を経て、ユーロ導入を果たした。「あまり慎重な財政政策を取ってこなかった国には改革が必要で、ユーロ債を安易な解決策にしてはならない」と言い切った。


日本の政治経済に関わる発言も率直だった。記者会見は、衆院で消費税増税法案が可決された2日後。増税は「責任ある決断だ」と評価し「政府は今日のことや次の選挙のことではなく、国のための戦略を考えるべきだ」と発言した。政権基盤確保のため正念場を迎えていた野田首相に、このエールは届いただろうか。



ゲスト / Guest

  • ミロスラフ・ライチャーク / Miroslav LAJČÁK

    スロバキア / Slovak

    副首相・外相 / Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs

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