2012年06月26日 14:00 〜 15:00 宴会場(9階)
アブデッサレーム チュニジア外相 記者会見

会見メモ

チュニジア国内の政治プロセスや、エジプトやシリアなど中東地域の情勢について話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)

通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)

チュニジア大使館のホームページ

http://www.tunisia.or.jp/


会見リポート

「革命の果実」へ冷静な分析

秋山 信一 (毎日新聞外信部)

2011年1月13日から約1年半が過ぎた。シリアではアサド政権と反体制派の軍事衝突が続き、市民は平和を渇望している。イエメンやリビアも治安が安定しない。エジプトでは軍やムスリム同胞団などが権力闘争を続けている。アラブ諸国で今も続く「革命」。その先鞭をつけたのがチュニジアだった。


「かつてアラブは民主化を実現出来ない『例外』だと言われてきた。アラブでも民主化が可能だということをチュニジアが証明した。チュニジアの成功が新たな民主化のモデルとなる。だからこそ成功しなければならない」。落ち着いた語り口の中に「アラブの春」を先導しているという強烈な自負がにじんだ。


チュニジアにも課題は山積している。安全な水の確保、医療体制の確立、雇用の創出、汚職の撲滅──。国民は「革命の果実」を必要としているが、主要な貿易相手である欧州が債務危機に揺れる中、基盤となる経済立て直しの道のりは険しい。「期待に応えるという断固たる決意があるが、実際には時間がかかる」と冷静に足下を見つめる。


それでも「経済指標は上向き、投資も復活してきている。個人的には将来を楽観している」と自信も示すのも忘れなかった。政治のイスラム化が欧米などで懸念されていることについても「チュニジアはアラブ、イスラムの国であると同時に民主国家でもある。『イスラム化か世俗化か』という議論を乗り越え、民主化を最優先に進めたい」と明快に語った。


会見中、永田町では消費増税法案などの採決が行われていた。またも政局にまみれつつある日本政界を横目に、中東の若きリーダーは爽やかな理想、確固たる信念、冷静な分析を披露し、「政治家」の何たるかも教えてくれた。



ゲスト / Guest

  • ラフィーク・アブデッサレーム / Rafik ABDESSALEM

    チュニジア / Tunisia

    外相 / Foreign Minister

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