2012年06月14日 13:30 〜 14:30 10階ホール
「G20サミット」 ヘレル メキシコ大使 記者会見

会見メモ

6月18、19日に開かれるG20サミットの議長国としてのメキシコのヘレル駐日大使が、その課題や見通しなどについて話し、記者の質問に答えた。


司会 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)

通訳 三好勝 メキシコ大使館通訳官


在日メキシコ大使館のホームページ

http://www.sre.gob.mx/japon/


会見リポート

G20前、議長国が示した命題は

朴 鐘珠 (毎日新聞外信部)

6月18、19日にメキシコ・ロスカボスで開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議に先立ち、議長国の立場から見通しを語った。ヘレル大使自身は職業外交官の現場経験を長く積んでおり、10年4月の核安全保障サミットにはシェルパとして携わった。11年9月に東京へ着任するまでは国連大使も務めていた。


今回のG20は欧州債務危機への対応が注目された。大使も「ユーロ危機は議論のテーブルから外せない不可避のテーマ」と重要視しつつ、「世界全体が経済成長に乏しい。失業率も主要国でかなり高くなっている。新興市場も成長の速度が落ちつつある」と不安材料を並べ立てた。


そこで議長国メキシコは参加国に対し、討議されるべき5つの命題を事前に提示したという。

 ①成長と雇用のために必要な構造改革と経済の安定化

 ②経済成長を促進するための金融包括推進と金融システムの強化

 ③金融アーキテクチャーの改善

 ④食料安全保障の促進

 ⑤持続可能な開発の奨励


さて、そうした提言を受け実際に発表された首脳宣言は、ユーロ圏が地域の一体性と安定性を守るため「必要なあらゆる措置」を講じるよう圧力をかけた。域内の銀行の監督機能を統合し、破綻処理に備え預金保険機構も兼ねた銀行同盟の創設を促したことは、市場も前向きに評価しているようだ。また国際通貨基金(IMF)の資金基盤強化についても、G20初日に合わせ新たに12カ国の拠出が発表され、総額4560億㌦へと約2兆円分上積みされた。


大使はG20が「世界経済を勇気づけるメッセージを発することが重要」と期待していたが、今回の首脳宣言に自身は満足しているだろうか。銀行同盟にはドイツが慎重姿勢を示しており、実現するとしても数年先との見通しもある。



ゲスト / Guest

  • クロド・ヘレル / Claude Heller

    メキシコ / Mexico

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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