2012年06月11日 17:00 〜 18:30 10階ホール
研究会「権力移行期の世界 ⑦ 中国」遠藤誉 東京福祉大学国際交流センター長

会見メモ

中国社会科学院客員教授などを務めた遠藤誉・東京福祉大学国際交流センター長から、中国共産党体制の現状や将来像、日本に多い権力闘争論に対する見解などについて話し、記者の質問に答えた。


司会 日本記者クラブ企画委員 坂東賢治(毎日新聞)


使用したレジュメ

http://www.jnpc.or.jp/files/2012/06/96b636e113c3c688badf148ed1d4eb5b.pdf

使用した資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2012/06/7f96078a3617181ad640794f2692a6be.pdf


遠藤氏の著作『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』(朝日新聞出版、2012 3/16)

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=13629


会見リポート

“竹のカーテン”内部を読み解く

加藤 青延 (NHK解説主幹)

中国共産党の中枢部を覆う竹のカーテン。その内部で、今、一体何が起きているのか。


中国との間に、網の目のような研究交流のパイプを持つ遠藤先生の講演は、中国ウオッチャーの「端くれ」である私が、これまで強い関心を寄せてきた多くの疑問に、明確な「解」を示してくれた。


まさに目から鱗が落ちることばかりだった。


先生の話は、党指導部の現在の権力構造から始まり、薄熙来事件の核心、さらには、次期指導部選出にむけた具体的な動きなど、遠藤先生が直接把握した生の情報と、本質を鋭くついた分析が何より圧巻だった。


たとえば遠藤先生が、「チャイナ・ナイン」と名づけた、中国共産党最高指導部、政治局常務委員を事実上選出する予備選挙の存在。


また、引退間際でレーム・ダック化しつつあると見られがちな胡錦涛国家主席が、実はいま、軍も完全に掌握し、過去最強の権力を握っている事実。


薄熙来事件に関連しては、かつて、遼寧省長を務めた薄熙来氏の後に、遼寧省に送り込まれた胡錦涛主席の右腕、李克強氏に課せられた重大な密命と、李克強氏がつかんだ情報と今回の事件とのかかわり。


さらには、薄熙来氏失脚の前日、「文化大革命の再発の可能性」にまで言及し、記者会見で薄熙来氏を非難した温家宝首相の発言が、単なる個人的見解ではなく、最高指導部の決定を反映したものだったことなど。


一部に、温家宝首相の「独走説」まで流れていただけに、大変興味深くうかがうことができた。


遠藤先生は、最新の情報を執筆中とのことで、その著作の出版が待ち遠しい。



ゲスト / Guest

  • 遠藤誉 / Homare Endo

    日本 / Japan

    東京福祉大学国際交流センター長

研究テーマ:権力移行期の世界 中国

研究会回数:0

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